村おこしの経済学

第12回 電子広告で次世代の町おこしを!

2009.11.06 FRI

村おこしの経済学


ストリートメディアが展開する「Touch!ビジョン」端末。22インチモニターを搭載する店頭設置モデルのほか、タクシーなどの移動体に対応した8インチモニターの「Touch!mini」も開発されている

下町・神田の振興に一役!デジタルサイネージとは?



江戸時代から多くの人で賑わってきた神田が昨今、少しずつ元気を失いつつあるという。下町情緒をたっぷりと残し、現在も学生やビジネスマンなど多くの人が行き交ってはいるが、テナントビルの空きが増えるなど、地域経済の停滞は着々と広がっているらしいのだ。

「神田は東京と秋葉原に挟まれた立地です。東京(丸の内)は大規模な再開発によって、平日よりも週末のほうが賑わうスポットに変貌しましたし、秋葉原は世界的ブランドに成長しています。その両エリアよりも古い歴史を持つ神田は、古い土地であるがゆえに地権者が多く、再開発のしづらい地域です。時間が経てば建物も老朽化していきますし、新たな活性化の手段を考えなければなりません」

そう語るのはストリートメディアの代表取締役、大森洋三氏である。大森氏は『ウェザーニュース』をはじめ、これまでに複数の大規模集客サイトを手掛けた人物で、現在、ITを駆使して神田の町を活性化するべく活動中だ。

大森氏の取り組みの最大の特徴は、デジタルサイネージ(電子看板)を活用する点にある。

「具体的には、店舗の軒先など街の随所にモニター端末『Touch!ビジョン』を設置し、局所的に有用な情報やコンテンツを表示させます。『Touch!ビジョン』はコンテンツを流すだけでなくFelicaリーダーライターを搭載し、消費者の手持ちの携帯電話に関連情報やクーポンを送るなど、双方向性サービスにも対応可能です」(大森さん)

大掛かりな取り組みだが、すでに試みはスタートしている。神田の町では実際に「Touch!ビジョン」を、地域内の店舗の前に40台設置。たとえば、居酒屋の店頭では人あたりの良い女将の挨拶ムービーを流して客を呼び込み、レストランの店頭では割引特典を告知したりと、店舗ごとに様々な活用法が見られる。

そして「Touch!ビジョン」の最大の特徴は、コンテンツ配信にテレビの放送波を利用する点にある。

「通常、こうした端末は光ファイバーなど有線で繋がれますが、1台ごとの設置コストが高くつく上、設置環境も限定されます。その点、放送波に乗せてデータを配信すれば、受信端末が何台あっても通信コストは一定です。大規模なチェーン店でキャンペーンを行うようなケースでも、低コストでコンテンツを配信できます」(同)

放送波の一角に様々なデータを流し、表示内容を時期や場所に合わせたコンテンツを表示できる便利な看板。しかも、消費者の持つ携帯電話との連携も可能。町おこしには持ってこいのこの看板インフラが、今後どのように活用されていくのか注目したい。
「らーめんバトル」開催中には専用ブログも立ち上がり、日々の状況がアップデートされ、熱戦を煽った。ラーメンフリークは来年の開催にもぜひ期待したいところ…!?

デジタルサイネージで「らーめんバトル」開催!



街中に掲げられた看板をモニターに取って換え、臨機応変に表示コンテンツをコントロールできるデジタルサイネージ(電子看板)。

神田に拠点を置くストリートメディア社が展開する「Touch!ビジョン」は、コンテンツ配信にテレビの放送波を利用することで、局所的なコンテンツを配信できる画期的なデジタルサイネージだ。Felica機能によって携帯電話と連携することも可能で、早くも様々な活用法がプランニングされ、新たな形態の地域振興に取り組んでいる。

その成功例のひとつが、2009年夏にラーメン店が複数集まる神田駅西口で開催された「らーめんバトル」だ。

「ラーメン店から客足が遠のく夏枯れの時期に合わせて、神田駅西口にある6つのラーメン店の協力を得て開催したイベントです。期間中、お店を訪れたお客さんには、店頭の『Touch!ビジョン』に携帯電話でタッチし、アンケート投票に参加していただきます。その投票によって、5分おきに6店舗のランキングが更新されるという仕組みを採りました」(ストリートメディア 代表取締役・大森洋三氏)

開催期間中は、店頭のビジョンでイベント趣旨を大々的に告知し、道行く人の関心を集めたこのイベント。

「リアルタイムでランキングに反映されるため、お昼時にはめまぐるしく順位が入れ替わり、お客さんも大いに盛り上がりました。結果、夏場の3週間で実に839人が投票に参加、新規来店者も約500人に上るなどの成果を挙げ、各参加店も喜んでくれています」(大森氏)

夏枯れの時期に売り上げアップを実現したのは、間違いなくデジタルサイネージという新たなメディアの功績だ。

イベントを終えた現在も、設置各店舗の従業員がゼスチャーで演じる「時報」を流すなど、ユニークな企画は枚挙に暇がない。

また、「Touch!ビジョン」はコンテンツ配信に放送波が用いられるため、町おこしだけでなく、災害時の情報源としての機能も期待されている。現在、神田エリアで40台が稼働するこの端末が全国に浸透すれば、パソコンも携帯電話も不通の非常事態の中で、貴重なメディアとして活躍することになるかもしれない。 こと経済面においては世界的に明るい話題が乏しい昨今、各地で取り組まれている村おこしの手法からビジネスのアイデアやヒントを学ぼうという狙いでスタートした本連載も、これにてお終いです。

村おこしというテーマは個人的に注目し続けてきたジャンルでしたので、この場を借りていろいろ面白いネタが吐き出せたのではないかと満足してますがいかがでしたか? 皆さんのビジネスに、少しでもお役に立てていれば幸いです。

ご愛読、ありがとうございました!

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト