ホントに無駄遣いは無くなる…?

「複数年度予算」構想が実現したらどう変わる?

2009.11.19 THU



遠藤貴也=写真photography TAKAYA ENDO
50分を超える異例の長さで「変革」を訴えた鳩山首相の所信表明演説。その中でも特に気になったのが「国民に見えるかたちで複数年度を視野に入れたトップダウン型の予算編成を行う」というくだり。通称「複数年度予算」と呼ばれる、この仕組みが導入されると、何がどう変わるのだろうか? 財政学が専門の田中秀明一橋大学経済研究所准教授が解説してくれた。

「どの国も基本的には、国民から集めた税金をその年に使う、予算の単年度主義が原則です。単年度主義は毎年いくら入っていくら出るのかが分かりやすいのですが、それだけだと不都合もあります。たとえば完成するまで何年もかかるような大規模公共事業の場合、単年度予算の仕組みではコントロールしづらいんです。そこで欧米諸国で導入が進んでいるのが、複数年にわたって予算をコントロールする仕組みです」

単年度予算だと、具体的にはどんな問題が生じてくるのか? 田中准教授は言う。

「たとえば、複数年にわたる公共事業計画などは、初年度に少ない金額で予算を通してしまえば、後から予算がいくら膨れあがっても『もう進んでいる事業だから』と後戻りできなくなります。八ツ場ダムはその典型で、当初の2110億円だった総事業費は4600億円へ2倍強膨らみました。また、単年度予算だと、公共工事などで予算を年度末に無理に使い切らなくてはならないという心理が働きがちです。予算が余っていることが分かると、その予算は必要がないとみなされ、翌年以降が減額される可能性があるのです。その点、複数年度予算なら、そうした心理が働きにくいのです」

財務省の見通しでは、今年度末、国と地方の長期債務残高はGDP比168%となり、欧米の3倍程度の水準まで悪化するという危機的な状況にある。

政府は今後、23年度予算から菅直人副総理指揮の下、複数年度にわたる予算編成を行う意向だ。税金のご利用は計画的に、となるか。


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