その座を巡って各国の思惑が交錯

“EU大統領”が新登場!どんだけ偉いポストなの?

2009.11.19 THU



写真提供/時事通信社
EUの新基本条約である「リスボン条約」が12月1日か来年1月1日に発効する見通しとなった。これによりEUには大統領が誕生するのだが、その役割とはなんなのか? 慶應義塾大学法科大学院でEU法を専門にする庄司克宏教授に話を聞いた。

「実はEUにはすでにプレジデントがいるんです。EUの最高意思決定機関である欧州理事会の議長です。ただし、ポストは加盟国の持ち回りで任期も6カ月と短いので議長と和訳されています。それが、今回発効されるリスボン条約では、議長職を多数決で選出し、最大5年の任期が与えられるようになりました。この違いから大統領と和訳されたのでしょう。正確には常任議長の方が適当だと思います」

では、権限や役割自体にはあまり変化はないのですか?

「基本的には欧州理事会の議事をつつがなく進めることが役割ですが、権限は明確にされていません。むしろ、誰が大統領になるかで、役割や権限も変わってくるでしょう」

日本への影響などはあるのでしょうか?

「EUの顔が生まれることは大きいと思います。以前、米国務長官が『EUと話をするときは誰に連絡を取ればいいのか』とコメントした逸話があります。それくらい組織が複雑だったのですが、今後は交渉ルートが明確になり、意思決定も早くなるでしょう」

政治交渉はしやすくなりそうですね。僕らの生活にはなにか影響が?

「リスボン条約では、EU内での意思決定プロセスが迅速化されます。これに、EU大統領の調整力や発言力が加われば、EU27カ国の意思を迅速に国際社会に伝えられ影響力も高まります。そうなると、EUがすすめる環境対策やクロマグロの捕獲禁止などが、より推し進められるかもしれません」

なるほど、巡り巡って、僕らの食卓からマグロが消えるなんて事態になるかもしれないのか。EU大統領誕生を機に、アメリカや中国だけでなく、EUの動きにも関心を持った方がいいかもしれません。


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト