世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

真上から日本を導く人工衛星

2010.10.07 THU

理化学ドリル


写真提供/JAXA これが、準天頂衛星初号機「みちびき」の軌道だ! …っていっても、地球の自転とみちびきの軌道を同時にイメージするのはなかなか難しいですよね。興味を持たれた方は、動画を検索してみましょう。
【問1】日本が打ち上げた衛星「みちびき」は次のうちのどれ?

A. 天頂衛星 B. 準天頂衛星 C. 静止衛星

【解説】みちびきは、GPSシステムを「補完」して、誤差を現行の10mから1mに改善し、われわれを導いてくれる国産の人工衛星だ。アメリカが運用するGPS衛星は約30基からなり、高度2万kmのあたりを飛行し、約12時間で地球を1周する。正確な位置情報を得るためには、同時に4基と通信ができないといけない。ところが、日本の都市部は高層ビルが林立しており、ビルの谷間だと、3基以下としか通信できないことがあり、自前の衛星でGPS衛星を補完する必要性が高まっていた。日本上空に衛星を追加したいわけだが、気象衛星ひまわりのような静止衛星にすればいいかといえば、そうでもない。静止軌道は赤道上の高度3万6000kmあたりで、地球の自転に合わせて飛行するため、地上からは常に静止して見える。でも、それは赤道上だからこそできることで、日本上空に持ってくるわけにはいかない。そこで「準天頂衛星」が必要になるのだ。

【問2】みちびきの動きは、地上からは次のどれに見える?

A. 動かない  B. 8の字 C. 涙の形

[正解] 問1:B 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、ミステリー作家としても活躍する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

もっとも日本を見守りやすい軌道とは?



「準天頂衛星」というネーミングはどこから来たのだろう。これは、「なるべく天頂近くにいてくれる衛星」というような意味だ。静止軌道を45度傾けてみる。すると、衛星は地球の自転と同じ24時間で1周するが、もはや地上から見て静止してはいない。なんと、日本からオーストラリアにかけて、「8の字」を描くのである!
静止軌道の場合、頭の中に、地球の自転と同期して飛行する、赤道上の衛星を思い描くことができる。でも、不肖竹内薫、理論物理学で博士号を持っているにもかかわらず、正直いって、8の字をうまく想像することができなかった。そこで、ズルしてインターネットにつないで、YouTubeで動画を検索したら、ありましたよ。JAXAに展示されている軌道模型が。それを見ると、たしかに8の字を描くことがわかる。百聞は一見にしかず。ネットにつなげる人は、ぜひ、YouTubeで「準天頂軌道模型」と検索してみてください。
ところで、この準天頂軌道には、さらなる「ひねり」がある。それは、完全な円軌道ではなく、楕円になっていることだ。そのせいで、地球から見ていると、8の字の上の「○」が小さくなっている。この形の方が日本上空に長く衛星がいられるのだそうだ。楕円がさらに細長くなると、しまいには8の字の上の「○」がつぶれて、涙のしずくみたいな形になるらしいが、そこまでやると、衛星の楕円軌道が細長くなって、地球から離れすぎて通信に都合が悪くなる。実際に採用された軌道は、地球から見て、完全な8の字と涙のしずくの中間みたいな形になる。
みちびきは、3機体制でGPSを補完するのだが、まだ1機目が打ち上げられたばかり。一刻も早い完成が望まれる。

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