世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

石油危機の切り札登場!?

2011.02.03 THU

理化学ドリル


写真提供:getty images 現在、国内で使われる大半の石油は、写真のような海外のプラントで採掘され、輸入されている。だが、藻類による原油生産~供給が実用化されれば、国内の耕作放棄地などを利用して自給することも夢ではないという
【問1】深さ1mのプールで藻類に石油を生産させる場合、日本の石油使用量をまかなうにはどれくらいの面積が必要?

A. 四国地方と同じくらい(約200万ヘクタール)
B. 東京都と同じくらい(約20万ヘクタール)
C. 石垣島と同じくらい(約2万ヘクタール)

【問2】国際エネルギー機関の試算によると、石油生産量のピークはいつ?

A. 1986年 B. 2006年 C. 2026年

【解説】これまでにも石油を作る藻類の存在は知られており、世界中で様々な研究が行われていた。たとえば、「ボトリオコッカス」という淡水産微細藻類が石油成分を生産するのだが、残念ながら、商業生産には結びつかなかった。ボトリオコッカスはやたらと細胞の増殖が遅い。この藻類が作る石油で世界の需要をまかなうほど、人類は暇じゃなかったのだ。そこで、世界中の藻類学者が血眼になって、石油を「大量生産」してくれるような藻類を探し回っていた。そして、とうとう、日本の筑波大学の渡邉 信教授らが、お目当ての藻類を発見した。新発見の藻類は「オーランチオキトリウム」。ボトリオコッカスより1個体あたりの油の生産量は少ないが、繁殖速度がはやいので、効率よく生産量を上げられるという。また、コストもかなり抑えられそうなので、実用化は近いかも!?

[正解] 問1: C(1ヘクタールはサッカー場約1個分の広さ) 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

掘れば石油が出てくる時代は、すでに終わっていた?



国際エネルギー機関(IEA)は1974年に設立された。経済協力開発機構(OECD)30カ国のうち28カ国が加盟している(90日分の石油の備蓄がないと加盟できない)。もともと石油ショックの際に「エネルギー安全保障」を目的として作られ、現在の事務局長は日本人の田中伸男氏である。たとえば、なんらかの理由で日本への石油の供給が途絶えた場合、国際エネルギー機関の緊急時対応システムが発動され、参加国の備蓄から石油が供給されることになっている。
石油は「枯渇する、枯渇する」と言われ続けてきたが、いまだに産出されている。その理由は、技術革新により、次々と新たな油田が発見されたり、これまで採掘できなかった油田が採掘可能になったりするからだ。
国際エネルギー機関によれば、石油生産のピークは2006年の1日あたり7000万バレルであり、今後は徐々に減少するだろうという(バレルは「樽」に由来し、約160リットル)。今後25年で、油成分を含む砂(タールサンド)からの石油が、現在の3倍に増えるほか、天然ガスの副産物である天然ガス液(NGL)の生産が大幅に増える見込みだ。というわけで、今すぐ、自動車の石油系燃料がなくなるわけではないが、採掘コストは確実に上昇するから、安かったガソリンの時代は終焉を迎えつつある。
国際エネルギー機関の報告書を読むと、いたるところに「中国」という文字が出てくる。中国は2035年までに、乗用車の保有台数がアメリカと並び、エネルギー消費が75%もアップするという。
石油もエネルギーも、二酸化炭素などの環境問題も、もはや、中国抜きでは語ることができない時代なのだ。

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