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「YouTube配信はDVD売上を促進」説で議論

2011.02.09 WED

噂のネット事件簿


YouTubeの「映画とアニメ」カテゴリーには無数のテレビアニメの動画が投稿されている。英語字幕がつけられているものも多い ※この画像はサイトのスクリーンショットです
独立行政法人・経済産業研究所の研究員で、慶応大学経済学部准教授の田中辰雄氏が、「ネット上の著作権保護強化は必要か-アニメ動画配信を事例として」という論文を発表。そこで、テレビ放映されたアニメ作品について「YouTubeで無料視聴されることはDVD販売とレンタル回数を減らさない。特にDVD販売はむしろ増加させる効果があり、YouTube再生数が1%増えるとDVD販売は0.24%増える」との分析結果を示した。

この論文は、2007年10月から2008年6月までの9カ月間に放映が開始されたテレビアニメ111本を対象に、YouTubeでの再生回数とファイル交換ソフト「Winny」による動画ファイルダウンロード回数が、DVDの売上とレンタル回数にどんな影響を与えるかを分析したもの。著作権保護の観点からすると違法となる「私的コピー」が、どれほどまでに著作権者の利益を損なう可能性があるか、ということを検証する論文だが、「YouTubeの場合著作権者の収入を増やすこともある」という意外な結論になった。

また論文によると、権利者によるYouTube上の動画削除については「ファイル削除は テレビ放映期間中に行ってもDVD売上に影響は無く、テレビ放映期間後に行うとDVD売上をかえって減らす」とのこと。さらに「Winnyによるファイル交換はDVD売上には影響を与えないが、レンタル回数は減らす効果がある」と結論づけている。

この見解について、2ちゃんねるでは、

「アニメはゲームと違って最後まで見てから買うかどうかを決めるからな
見たいから買うのでなく、所有したいから買うのがアニメ
この結果は当たり前だろう」

と、結論に納得する意見もあれば、

「無料で見られる事自体は宣伝になってるとは思うが、ダウンロードはさすがに違うんじゃないか…?」

などと、異論を唱えるネット住民もいた。

ちなみに、これまでのアニメ業界の見解としては、違法動画はDVDなどパッケージの売上にマイナス影響を与えるというとらえ方が優位となっている。また、音楽業界では、レコード会社がミュージックビデオをYouTubeに投稿するなど、プロモーション目的での動画サイト利用が珍しくないが、ライブ映像などのDVDパッケージ化されている映像を公開する例は少なく、これもまた同様の考え方といえるだろう。

しかしながら、一部の邦楽アーティストでは、違法にアップされたライブ動画に、海外のファンからのコメントが殺到するケースも増えており、DVDが販売されてない地域でのプロモーションに違法動画が一役買っていることを指摘する声もある。さらに、その効果を見込んでか、英語字幕のついた違法動画が削除されずに長期間放置されている例もいくつか確認できる。今回の論文の結論にもあるように、徐々に状況が変わってきたということなのだろう。常に議論の的となってきた、ネット上での著作権保護の問題。結論が出るのはまだ先のようだ。

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