世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

地球のなかをのぞく技術

2011.03.03 THU

理化学ドリル


画像提供/東京大学地震研究所 画像は、ミュオンを使った火山内部のレントゲン写真。2009年に東京大学地震研究所の田中宏幸特任教授の研究チームが撮影に成功したもので、「ミューオグラフィー」と名付けられている
【問1】火山内部を透視する方法があるという。いったいどうやって透視するのだろう?

A. 強力なX線を使う
B. 陽子ビームを使う
C. 素粒子の一種であるミュオンを使う

【問2】火山には噴火の可能性に応じて、最も活動的なAランクから、あまり活発でないCランクまである。新燃岳はA、B、Cのどのランクに属するか?

A. Aランク B. Bランク C. Cランク

【解説】レントゲン撮影はX線を使う。X線は光の一種だから、早い話が強い光をあてて、透視するわけだ。
火山は分厚い岩や土に覆われているから、光の仲間では透かして見ることができない。そこで、宇宙から降り注ぐミュオンという素粒子を使うことになる。ミュオンは電子の仲間で、物理学者にはなじみの深い粒子だが、一般の知名度は低い。
昔、アルバレという物理学者が、エジプトのカフラー王のピラミッドをミュオンで透視して、隠された玄室が存在しないことを確かめた。それ以来、ミュオンで大構造物を透視する技術は確立され、今では火山の内部の様子も見えるようになった。ただし、火山の透視には、1回1億円程度かかるという。新燃岳でこの技術が使われない理由は、この莫大な費用にあるのかもしれない。

[正解] 問1: C 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

ミュオンによる透視技術を駆使すれば、火山の噴火が予知できる?



活火山とは、過去1万年の間に噴火した火山と、現在噴気活動のあるもののことだ。日本には108個の活火山がある。これは全世界の活火山の7%にあたるというから、いかに日本が火山大国であるかがわかる。
気象庁は、過去1万年と最近100年の火山の活動状況を調べて、この108の活火山を3ランクに分類している。最も活動的なAランクに分類されている火山が有珠山、三宅島、雲仙岳など13カ所。次に活動的なBランクが蔵王山、富士山、(新燃岳の属する)霧島山など36カ所、活動度の低いCランクが、八甲田山、八丈島、阿武火山群など36カ所。そして、データ不足でランク分けされていない火山が、伊豆諸島の海底火山や北方領土の火山などの23カ所となっている。
これだけニュースで噴火の被害が取り上げられているのだから、新燃岳は当然Aランクに属するかと思いきや、意外に「ふつう」のBランクに分類されている。たしかにAランクはすごく活動的だが、Bランクだからといって、安心してはいられない、ということらしい。Bランクには、富士山や箱根山も入っているので、ちょっと心配になってしまう。
ニュースを見ていて気になったのが、新燃岳が噴火してから、慌てて観測機器を設置していたことだ。たしか、2004年の浅間山の噴火のときも、観測体制が十分でなかったため、問題になったような…今回も同じパターンなのである。
うーん、もっと、ミュオンの透視技術なども活用して、活火山の監視体制を見直した方がいいのでは? 火山大国日本の、どこか遅れた観測体制も、やはり不況で科学技術予算が削られているせいなのだろうか。

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