世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

特別鼎談 人はなぜ、宇宙に惹かれるのか?

2011.07.21 THU

理化学ドリル


今年「小学館漫画賞」と「講談社漫画賞」を相次いで受賞し、映画化も決定。着実に読者を増やしつつある漫画『宇宙兄弟』。その主人公である宇宙飛行士、南波六太・日々人兄弟と本誌連載でもおなじみのサイエンスライター竹内 薫氏が、時空を超えた夢の鼎談を繰り広げる! (c)小山宙哉/講談社
竹内 今日は、未来の若い宇宙飛行士たちに会うことができて光栄です。宇宙開発予算がどんどん削減されていくご時勢だけに、君たちの時代(※作中では現在2027年)に有人宇宙開発がちゃんと継続されていることがうれしいよ。

六太 僕らの世界では、今まさに月、そしてゆくゆくは火星に移住するためのリハーサルが始まったところなんです。もちろん、莫大な予算を費やしてまで宇宙探査が必要か否かって問題は、相変わらず議論されていますよ。僕がJAXAで受けた宇宙飛行士選抜試験でも、反対派を説得するための抗議文が課題として出されたくらいですから。

竹内 ああ、そのエピソードはコミックスで読んだよ。あの答えは良かったね。

日々人 へえ、それ初耳だな。ムッちゃんはなんて答えたの?

六太 ん…、ずいぶん前のことだから覚えてない…かな。宇宙の魅力を知らない人を説得するには、理屈じゃないだろう、なんつって。

竹内 そうそう、六太くんは、「もうすぐ日々人が月に立つから心配ない」って言い切ったんだよね。日本人が初めて月に降り立つと、わくわくしながら夜空を見上げる人が増えるだろう。そうしたらみんなの意識に宇宙が降りてきて、もっと宇宙が近くなるってね。

日々人 いいこと言ってんじゃん! たしかに、宇宙に惹かれる理由なんて言葉じゃ説明できないよね。俺らは子どものころに、とあるきっかけで宇宙飛行士になるって決めたんだけど、とにかく「行ってみたい」「知りたい」っていう好奇心に突き動かされたとしか…。

竹内 そういう好奇心って、科学技術においても大事なんだよ。科学って研究の段階では、それが何の役に立つかわかることが少ないから、科学者は実用性よりも自らの知的好奇心にしたがって研究を始める。僕も科学を生業にしているから、常に「科学は役に立つか?」という問いにさらされているんだけど、現時点での答えは、「科学は100年単位での人類の発展に寄与する赤ん坊のようなものだから、育て続けるしかない」ってところかな。生まれたばかりの赤ん坊に「お前はいつ、どんな形で社会の役に立つんだ」って詰問する親なんていないでしょう?

六太 そういった意味では、僕ら宇宙飛行士はみんな、数え切れないくらい大勢の人たちに育ててもらっている赤ん坊みたいなものなのかも。JAXAの入社式で、僕らを支える人たちについて話があったんだけど、訓練が進むにつれて、その重みを実感していますね。JAXAやNASAの職員だけでなく、民間の技術者や一般の人たちが応援してくれて、初めて宇宙へ飛べるんだなって。

竹内 これからの宇宙開発では、世界的に見ても民間の役割が増えるだろうね。今年スペースシャトルが引退したことで、国際宇宙ステーションへの人的輸送は、しばらくロシアのソユーズ宇宙船だけが担うことになっている。だけど、ゆくゆくは民間企業であるスペースエックス社などのロケットや輸送宇宙船にも引き継がれる予定なんだ。アメリカでさえ、宇宙飛行士の行き来を民間企業にまかせる時代になってきているんだよ。

六太 僕のまわりにも、民間でロケットや宇宙服を開発している人たちがいます。うかうかしていると、彼らに先を越されてしまうかもしれませんね。

竹内 いちサイエンスライターである僕の場合は、民間企業ががんばってくれた方が宇宙へ行ける可能性は高まるかもしれないな(笑)。参考までに聞いておきたいんだけど、月に立つってどんな感じなの?

日々人 当たり前だけど、月のうえではとにかく体が軽くって。思わずぴょんぴょん跳びはねちゃうくらい、重力から解き放たれて自由になれるんです。俺も竹内さんに聞いてみたいことがあったんだ。ここだけの話、“宇宙人”っていると思いますか?

竹内 いい質問だ。唐突だけど、ここで問題です。米国の天文学者が約50年前に行った推定によれば、この銀河系に知的生命体が暮らす惑星は、何個あるでしょう?

日々人 え、すげえ! そんなのわかるんですか? …ん、何してんだよ、ムッちゃん?

六太 (エアそろばんを弾きながら)よし出た、答えは「10個」だ。

竹内 へえ、正解だ。驚いたね、今のはドレイクの方程式から導き出したのかい?

六太 ええ、もちろん。……いや、実は昨日の夜に竹内さんのアプリ『宇宙学ドリル』をやって、答えを知ってたんです。

竹内 それはどうも(笑)。せっかくだから詳しい説明は『宇宙学ドリル』でチェックしてもらうとして、科学的にも、地球外生命体はいると考えられているんだよ。

六太・日々人 おおーっ!!

竹内 このまま人類が宇宙に出ていけば、もしかしたら彼らと出会うことがあるかもね。そんな未来が訪れるように、君たち兄弟もがんばってください!

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