世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

どうする? 宇宙のゴミ問題

2011.10.20 THU

理化学ドリル


写真は10月末にも落下が予想されているドイツの人工衛星「ROSAT」。大気圏突入後、燃え尽きずに地上に落ちてくる破片は約30個、重量1.6tにもなるとみられている
写真提供/DLR(ドイツ航空宇宙センター)
【問1】地球を周回している人工衛星は、どうなると落ちてくる?

(A) 永久的に回り続ける(故障しない限り落ちてこない)
(B) 燃料が枯渇して速度が低下すると落ちる
(C) 地上から落下指示を出すと落ちてくる

【問2】現在、地球の周りには10センチメートル以上の宇宙ゴミだけでいくつくらいある?

(A) 約1500個
(B) 約1万5000個
(C) 約15万個

【解説】
先月24日に落下したアメリカの人工衛星に続き、今月下旬にはドイツの人工衛星も落下するとニュースになっている。だが、人工衛星やロケットの部品は、年間400個近くも落ちているので、いまさら驚く話でもない。

人工衛星が落ちてくるのは、大気摩擦のせいである。地球に近い低軌道を回っている人工衛星は(希薄な)空気の摩擦にさらされ、次第に運動エネルギーを失い、軌道が落ちてくる。それを防ぐために、人工衛星には、姿勢制御用の燃料が積んである。その燃料が尽きたとき、軌道修正が不可能となり、人工衛星は事実上の「宇宙ゴミ」と化す。

人工衛星の軌道がどれくらいのペースで低くなるかをモニターすることにより、その地点における大気の密度(=空気の量)を測定することができる。また、太陽の活動が活発になると、熱により大気が膨張し、摩擦が増え、急に人工衛星の姿勢が乱れることも多いそうだ。

[正解] 問1: B 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

チリも積もれば、宇宙への道を阻む障害に…



人類初めての人工衛星スプートニク1号(1957年)以来、6700基以上の衛星が打ち上げられたといわれている(軍事衛星は機密事項なので、正確な数はわからない)。今現在も、運用を停止した人工衛星を含めると、3000基以上が地球の周囲を飛び続けている(出典:日本宇宙フォーラムHP)。運用停止した人工衛星は宇宙ゴミだが、そのほかにも、人工衛星の打ち上げに使われたロケットの一部、軍事的な衛星破壊実験による破片、宇宙飛行士が手放してしまった手袋や工具など、地球の周囲はゴミだらけなのだ。
衛星破壊実験を行ったのが確実なのは、アメリカ、旧ソ連、そして2007年になって実験をした中国である。宇宙ゴミを発生させているワースト5は、多い順に、ロシア、アメリカ、中国、フランス、日本となっている(中国は2007年の衛星破壊実験でいきなり3位に浮上した)。
宇宙ゴミは、運用中の衛星や、国際宇宙ステーションに激突して、甚大な被害を引き起こすおそれがある。そのため、大きさが10センチメートル以上の宇宙ゴミについては、現在、約1万5000個が登録され、常時、監視されている。
だが、1センチメートルから10センチメートル大の宇宙ゴミの数は数十万個、1センチメートル以下になると数百万個にのぼるとNASAが推定していて、地球の周りの汚染は目を覆いたくなるほどひどい。
よくよく考えてみると、「ゴミ」という名前は適切でないかもしれない。なにしろ、時速3万キロメートル以上で弾丸のように宇宙空間を駆け巡っているのだ。無数の弾丸があらゆる方向から飛んでくるようなものだから、宇宙飛行士も命がけだ。そろそろ、国際協力により、宇宙ゴミの掃除を始めるべき時期に来ているのではないだろうか。

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