名前の不思議調査隊/第1回

日本で一番多い名字と、そのルーツは?

2011.11.16 WED


名刺交換の際、名字が会話のきっかけになることも。名前に関する豆知識のストックは多いに越したことはない!? tooru sasaki/PIXTA
高橋さんが同じ職場に二人いたり、名刺フォルダーには佐藤さんの名刺ばかりが目立ったり。そんな経験ありませんか? 他にも田中さん、鈴木さん、山田さんとの遭遇率もかなり高いですよね? 

これらのよく見かける名字には、どんな意味やルーツがあるんでしょうか? 

「日本で一番多いとされている名字は佐藤さんで、全国に180万人以上。“佐藤”には藤の字が入っているので、藤原氏とのかかわりがあったと考えられます」

そう語るのは名字研究家の高信幸男氏。藤の字が名字に入っている人は他にもいますが、みんな藤原氏とのかかわりが?

「概ねそう考えてよいでしょう。例えば近藤さんであれば近江に、伊藤さんなら伊勢に移り住んだことで、変わっていったとされています。佐藤さんのルーツは、栃木県の佐野に移り住んだ藤原氏と縁がある人、もしくは、左衛門尉(さえもんのじょう)という当時の役職が関係しているともいわれています。ちなみに平安時代につけられていた名字は、源氏、平氏、藤原氏、橘氏のゲンペイトウキツと呼ばれる4つの氏から派生したものがほとんどなんですよ」

ほー。それほど古い歴史とかかっているんですね。では佐藤さんの次に多い名字は何で、どのようなルーツが?

「次に多いのは鈴木さんです。こちらは和歌山で生まれた名字で、熊野地方で稲穂をススキと呼んでいたことが関係しているといわれています。この名前が広まったのは、和歌山にある熊野大社を信仰する鈴木氏が布教活動を広く行ったから。今でも和歌山から東日本に鈴木さんが多いのは、北東に向かって信仰を広めていったからです」

確か高橋さんも多い名字だったと思います。こちらはいったいどんなルーツがあるんでしょうか?

「高橋さんはずっと昔に天皇の食膳係として仕えていた一族がルーツではないかという説があります。“高いハシゴ”から変化したもので、天のように高い場所で暮らす人に食膳を届けるという意味かもしれませんね」

なるほど、高い橋ではなく高いハシゴと。それはちょっと想像できなかったです。では田中さん、山田さんは……?

「田中さんや山田さんは、日本全国にまんべんなく多い名字。昔の日本は田んぼと山ばかりでしょうから、様々な地域で派生したんだと思います。ちなみに田中さんと中田さんでは意味合いが少し変わるんですよ。田中さんは広大な田んぼに囲まれた場所を意味しますが、中田さんは“上田・下田”を名乗る里が付近にあったことから生まれたと考えられますので、名字の生まれた地形に違いがあります」

渡辺さん、吉田さん、山本さん…よく見かける名字はまだまだあります。その一つひとつにルーツがあり、さらにトンチのようなひねりのきいた珍しい名字があると思うと、フム、名字の世界はかなり奥が深そうです。

(山葉のぶゆき/effect)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト