世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

電気の上手な貯め方

2012.02.02 THU

理化学ドリル


写真は、昨年12月開催の「エコプロダクツ2011」にソニーが出品した「紙から発電するバイオ電池」。なんとこの電池、紙に含まれるセルロースを酵素で分解し、得られるブドウ糖で発電するのだとか。将来的には、不用になった木材や段ボールなど、たまったゴミを電気に変えられるかも?
写真提供/Natsuki Sakai/アフロ
【問1】次のうち、存在しない乾電池は?

(A)アルカリ乾電池 
(B)ニンガン乾電池 
(C)リチウム乾電池

【問2】電気はなぜ貯められない(といわれる)のか?

(A)貯めると爆発しちゃうから 
(B)どんどん蒸発してしまうから 
(C)本当は貯められる

【解説】
乾電池には、マンガン、アルカリ、ニッケル、リチウム、ニッカドなど、電極の化学物質によって、たくさんの種類がある。電解液(=電気を通す溶液)が液体のままの電池を湿電池、電解液を固体にしみこませたものを乾電池と呼ぶ。湿電池には、寒冷地だと電解液が凍ってしまう欠点があった。乾電池は、この点を改良すべく、1887年に日本の屋井先蔵が発明した。うーん、乾電池の元祖は日本製だったんですねぇ。
普通の乾電池は2種類の化学物質(=電極)と電解液からできている。たとえば亜鉛と銅だと、亜鉛が電解質に溶けて、そのとき、電子が「溶け出る」。つまり、亜鉛のまわりでは電子が余ってしまう。それと比べて、銅の側では電子が少ない。回路がつながると(=おもちゃなどに電池を入れてスイッチを入れると)、余った電子が足りない方に移動して、電気が流れる仕組みだ。

[正解] 問1:B 問2:C


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

電気エネルギーも、両替すれば貯められる?



電力会社が「電気は貯められない」というとき、それは数万ボルトの電圧をもった電気を貯めるのが難しい、という意味だ。すでに述べたが、数ボルト程度の低い電圧でよければ、乾電池に貯めることができる。ようするに「量」と「コスト」の問題なのだ。
大量の電気を貯める方法は、さまざまな研究開発が進められている。代表的なものに、揚水ダム、フライホイール、NAS電池などがある。
揚水ダムは、その名のごとく、原子力発電で余った(夜間の)電気を使って、水を低いダムから高いダムに揚げるもの。電気エネルギーを水の位置エネルギーに変換して貯めておくのだ。ただし、原発が稼働しないと、コストがかかりすぎて、あまり意味がない。
フライホイールは、要するに大きな回転円盤である。電気を回転エネルギーに変換して貯めるのだ。とはいえ、摩擦で回転が遅くなってはもったいないから、超伝導コイルというものを使って、鉄製の円盤を宙に浮かべ、摩擦をなくす技術が開発されている。
最近、よく耳にするのがNAS電池。鉛電池の3倍も電気を貯めることができる。NAS電池は、すでに実用化されていて、停電のときの補助電力や、夜間電力として、さまざまな施設で使われている。
電気は、電子が流れている状態であり、水でいえば、勢いのある水流にあたる。だから、貯めるためには、いったん別のエネルギーに変換しないといけない。でも、変換するときにエネルギーが失われるし、余計な設備費用もかかる。量とコストの問題は、なかなか克服するのが難しい。というわけで、まだ当分の間、みんなでまめに節電するしかないようです。

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