世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

太陽嵐の季節?

2012.03.01 THU

理化学ドリル


この写真は、インド洋上約350km付近に現れたオーロラをISS(国際宇宙ステーション)から撮影したもの。写真や映像でおなじみのオーロラを宇宙から見るとこう見えるのだ
写真提供/ロイター/アフロ
【問1】1月以降、アラスカやカナダで増えている天文現象は?

(A)オーロラ
(B)流れ星
(C)隕石の落下

【問2】強力な太陽嵐は僕らの生活にどんな影響を及ぼす可能性がある?

(A)山火事
(B)停電  
(C)巨大ハリケーン

【解説】
太陽の活動は通常、11年周期だ。11年ごとに黒点の数が増えて、活動のピークを迎え、太陽磁場のN極とS極が逆転する。活動のピーク時には、太陽から地球に飛んでくる荷電粒子の数が増える。
棒磁石のまわりの砂鉄を観察すると、N極からS極へ磁力線がつながっていることがわかる。太陽にもN極とS極があるが、極地方とくらべると赤道付近の方が表面の回転が速いため、磁力線が乱れて「こんがらがって」しまう。こんがらがった磁力線は太陽表面の下に潜り込んだり、上に飛び出てきたり、複雑に走る。この、磁力線が表面に飛び出てくる所を「黒点」と呼んでいる。
黒点付近で爆発(太陽フレア)が起きると、磁場のエネルギーが、熱エネルギーや荷電粒子の運動エネルギーに変換される。地球に到達した荷電粒子は、地球の磁場と相互作用した後、大気(電離層)とぶつかって、蛍光灯と同じような原理でオーロラが見えるのだ。

[正解] 問1:A 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

太陽がくしゃみをすると地球が風邪をひく?



1989年にカナダのケベック州で大停電が発生した。大規模な太陽フレアにより、大量の電磁波や荷電粒子が地球に降り注ぎ、たまたまケベック州が直撃を受けたのだ。大規模な太陽フレアを「太陽嵐」と呼んでいる。過去最大の太陽嵐は1859年のキャリントン事象。天文学者の名前を冠したこの事象では、なんとキューバやホノルルからもオーロラが見えたそうだ。
こんなふうに書くと、なんだか、太陽の活動が怖くなるが、実は、長期的に見ると、太陽の活動は活発になるどころか、低下しているらしい。さきほど、太陽の黒点の数が11年周期でピークを迎えると書いたが、日本の太陽観測衛星「ひので」の精密観測によれば、その周期が、現在12年半ほどに延びていて、おまけに北半球と南半球で磁場の様子が異なる異常事態だという。
11年周期が延びるのは、太陽活動が低下する時期の特徴で、たとえば1645年から1715年まで続いた「マウンダー極小期」には、地球の気候が寒冷化したことがわかっている。
太陽活動が低下すると、なぜ、地球は寒冷化するのだろう? ひとつの有力な仮説は、太陽磁場による「バリヤ」が弱くなって、宇宙から飛んでくる宇宙線が地球にたくさん降り注いで、そのせいで雲が増えてしまう、という考え。まさに太陽がくしゃみをすると地球が風邪をひくのだ。
以上をまとめると、現在、太陽活動は長期的には低下しつつあるが、短期的には、(1年半くらい遅れたものの)活発になってきていて、2013年の5月頃に次のピークを迎えるらしい。というわけで、(地球温暖化ならぬ)地球寒冷化も心配だが、来年にかけて、太陽嵐により、GPS衛星や他の人工衛星が故障したり、停電が引き起こされたりするかもしれませんゾ。

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