次世代の暗号の鍵は「量子」!?

守る人vs.破る人 暗号技術バトル

2012.03.26 MON


世界最大といわれるハッカー集団、カオスコンピュータ・クラブが毎年開催しているカンファレンス「カオス・コミュニケーション・コングレス(CCC)」の様子。ハッカーというとイメージが悪いかもしれないが、本来はコンピューター技術に精通した人物を指す。こういったハッカーの大会は世界中で開催されており、暗号解読のコンテストをはじめとする高度な技術共有がなされている。いわば“暗号の最前線”なのだ
写真提供/dpa/PANA
メールの送受信、WEBサイトの閲覧、音楽ファイルのダウンロードなど…僕らにとって日常的なこれらの行為は様々なセキュリティ技術によって守られている。その根幹を担うのが“暗号”だ。暗号とは簡単にいえば、当事者以外には何が記されているかわからないよう、文字を独特な書き方を使って変える方法。暗号を使いデータを秘匿することで、情報流失の様々なリスクを防いでいるわけだが、その歴史は紀元前にまで遡るのをご存じだろうか。

暗号の歴史は端的にいえば、国家間の争いの歴史。戦時下における作戦や外交上の指示など、国家機密を守るべく考案されたとされる。たとえば、古代ギリシャでは、棒に巻きつけたリボンに文章を書き、同じ直径の棒に巻きつけないと読めなくなる「スキュタレー暗号」。古代ローマでは、ジュリアス・シーザーが使ったとされる、文字を別の文字に置き換える「シーザー暗号」などが存在した。中世ヨーロッパではダミーの情報を入れ込んだり、1文字を複数の文字に変換する方法が考案され、19世紀には解読のための鍵を使い捨てにする手法が広まった。そして、20世紀に入るとそれまで手作業で行われていた暗号化と復号(暗号を元に戻すこと)の過程を機械式に移行するに至ったのだ。

だが、暗号をめぐる最大の変化は“用途”の変化といえるかもしれない。戦後、コンピュータとそれによる情報通信が広く普及。企業間での商取引など、民間の多くの人が暗号を必要とするようになる。1973年、米国が商用使用の暗号方式を採用したのを皮切りに、僕たちの日常にも暗号の恩恵がもたらされるようになったのだ。

ここまで暗号の歴史をかいつまんで振り返ったが、暗号の進化=「暗号技術者と解読者のいたちごっこ」でもある。事実、“量子”を利用した次世代の暗号と復号はそれぞれ研究の真っただ中。暗号のニーズがますます高まるこれからも、“絶対破られない暗号”を求める戦いは続いていくのだ。
(志万俵)


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