日本1周ご当地不思議巡り/第5回

富山県の葬儀関係費が高いワケ

2012.05.23 WED


koichi / PIXTA(pixta.jp)
「富山の薬売り」で知られる富山県。先に品物を渡して、使った分の料金を後で回収するという、「先用後利」の仕組みが始まったことからも、実に信頼関係を大切にする県民性が想像できますよね。そんな富山県ですが、実はもうひとつ、他県に比べて富山県民が大切にしている事柄があるのです。

それは「葬儀葬礼」。

「総務省 平成21年地域,品目別1世帯当たり1か月間の支出」(二人以上の勤労者世帯)によると、富山県の「葬儀関係費」は月7128円と全国1位。全国平均1042円の約7倍にも上る額なんです。なぜ、ここまでの差が生まれるのでしょうか?

富山で聞き込み調査をすると、まず分かってきたことが、法事・法要を大切にする家庭が多いこと。かつてのような家制度が薄れ、回忌や月忌法要をきちんと行う家が全国的に少なくなっているなかで、富山県ではいまだ月忌法要をきちんと行い、先祖とのつながりを大切にする文化が根付いているのだとか。法要のたびに、お布施や会食代などが発生するため、それが月々の出費を押し上げている大きな要因になっているわけです。

また、富山では葬儀の際、お香典とは別に、会食代として一人当たり3万円、夫婦なら5万円を支払うのが当たり前なんだそうです。それに対する引き物も贈られるようですから、しっかりしています。

こうした法事・法要をきちんと行う文化になった背景には、浄土真宗の信仰に厚い土地柄があるようです。北陸では室町時代、蓮如上人という僧によって浄土真宗が布教されました。「講」というグループを中心に結束を固めていった北陸の人々は、行事や会合を重んじる気質を育んでいったそうです。そんな北陸のなかでも、転入・転出率が低く世帯の入れ替わりの少ない富山では、いまだにその文化が色濃く残っているというわけ。「信仰・祭祀費」が全国3位にランクインするのも、その信仰の厚さを示しているようです。

これだけ法事・法要を大切にしている文化ですと、家族のつながりはさぞかし強いはず、と思って調べると、やはり、「離婚率」は全国46位(総務省 社会生活統計指標 2012)、「3世代同居率」は全国5位(総務省 国勢調査2010)でした。夫婦仲睦まじく、3世代で生活しながら、先祖に対しても敬意を表する。そんな富山県民の県民性が見えてきました。
(長谷川浩史/梨紗)

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