世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

太陽のスーパーフレア

2012.06.07 THU

理化学ドリル


画像は、2001年4月に太陽観測衛星(SOHO)によって観測された太陽フレアのイメージ。1989年にカナダで大停電を引き起こしたフレアよりも、さらに大規模な爆発だったが、幸いにも地球を直撃する方向には向いていなかったため深刻なトラブルは起こらなかった
写真提供/NASA
【問1】現在、実際に起きる可能性について科学者の間で論争になっている「太陽のスーパーフレア」とは?

(A)太陽が急膨張して熱線を放つこと
(B)太陽活動の低下で低温になること
(C)太陽表面で起きる超巨大な爆発のこと

【問2】スーパーフレアが起こると人間にはどんな影響が?
(A)強力な衝撃波で大気が吹き飛ぶ
(B)強力な電磁波の影響で電子機器が壊滅する
(C)強力な熱線の影響で超猛暑がやってくる

【解説】太陽表面の巨大な爆発現象を太陽フレアと呼ぶ(この連載でも紹介済み)。これが起こると磁気エネルギーが熱エネルギーや運動エネルギーに変換され、地球にまで、様々な粒子や電磁波が飛んでくる。
スーパーフレアは、通常の太陽フレアの100倍から1000倍もの威力をもつ爆発で、これまでは、星の傍に巨大惑星が存在する場合にだけ起きる現象で、太陽では起きないと考えられてきた。
ところが、京都大学の柴田一成教授らの研究グループが系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータを分析したところ、星の傍に巨大惑星がない場合でも、太陽型の星でスーパーフレアが起きることが判明した。
もし本当なら、いずれ太陽でもスーパーフレアが起きる可能性がある。そうしたら、地球はどうなってしまうのだろう?

[正解] 問1: C 問2:B


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

威力1000倍のスーパーフレアの可能性は?



1989年にカナダに住んでいたとき、太陽フレアのせいで、大停電が起きてびっくり仰天した。太陽フレアでも、電子機器が故障したり、送電網が破壊されたりするのだ。だとしたら、その100倍も1000倍も威力があるスーパーフレアが起きたら、大惨事になることは想像に難くない。
スーパーフレアが起きると、強力な電磁波、電子、陽子、その他の粒子が地球に降り注ぐ。それは「電磁波や粒子の津波」が宇宙から押し寄せてくるような怖いイメージだ。
一番厄介なのは半導体が誤作動したり破壊されたりすること。現代文明は、パソコンやテレビや携帯電話にしろ、人工衛星にしろ、発電所にしろ、自動車や飛行機にしろ、半導体と無関係なものはほとんどない。スーパーフレアが起きると、電気が止まり、通信ができず、テレビは映らず、天気予報ができず、公共交通機関が麻痺してしまう。復旧には何カ月も何年もかかるにちがいない。スーパーフレアは、科学技術文明を根幹から破壊してしまう可能性があるのだ。
このほかにも、オゾン層が消滅し、地球上の生命が絶滅の危機に瀕すると警鐘を鳴らす人もいる。これまで人類が経験したことのないほど巨大なエネルギーが地球を直撃するわけで、正直なところ、どんな被害が生じるのか、誰も正確に予測ができない。
とはいえ、スーパーフレアが起きる星には、太陽より巨大な黒点が見られるようだし、過去に太陽でスーパーフレアが起きたかどうかもわかっていない。京都大学の研究によれば、太陽フレアの100倍のスーパーフレアは800年に一度、1000倍のスーパーフレアは5000年に一度の割合でしか起きないそうなので、あまり心配しすぎないようにしよう。

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