日本1周ご当地不思議巡り/第10回

県民も「?」新潟県豚肉愛好のナゾ

2012.06.27 WED


新潟名物で豚肉を使った代表的メニューのひとつ、「タレカツ丼」。揚げたての薄めのトンカツを“甘辛醤油ダレ”にくぐらせて、ご飯にのせただけのシンプルなものですが、ジューシーで味わい深いものでした。
日本有数の米どころで知られる新潟県。お米の生産量は北海道に次ぐ全国2位ですが、消費額は堂々第1位(総務省 平成21年全国消費実態調査 地域、品目別1世帯当たり1か月間の支出、二人以上の世帯のうち勤労者世帯)。全国平均の2.2倍以上の金額を誇りまさに米どころの面目躍如といった感じです。さらに、お米を原料にした清酒の消費額もダントツ1位で、ビール、ウィスキー、ワインの消費額もそれぞれ全国5位以内。酒豪ぶりがうかがえますね。

また、肉の消費額は下記の通り。

豚肉…第1位(2572円)
牛肉…第43位(766円)
鶏肉…第40位(872円)

新潟県民にとっては「お肉=豚肉」のようなのです。早速県内のスーパーの精肉売り場へ行ってみると、牛肉・鶏肉の売り場スペースがそれぞれ「1」ずつだとすると、豚肉は「3」。また、飲食店のメニューを見てみると、「豚のしょうが焼き」「豚の角煮」「豚肉と長芋のニンニク炒め」…と豚肉を使ったものが目につきます。「タレカツ丼」という卵でとじていないカツ丼も地元で人気のB級グルメだそう。さらには、「カレーの具といえば?」の質問に、県民から返ってきた答えの多くが「豚肉」。

一体なぜ、新潟県ではこんなにも豚肉が好まれているのでしょうか?

まずはどんな種類の豚肉が食べられているかを調査。新潟県内には「つなんポーク」「越後もちぶた」「越乃黄金豚」「朝日豚」などの銘柄豚があるようです。おいしい豚肉が安く手に入るのも消費を押し上げる一因といえそうですが、全国各地にもこうした銘柄豚は存在するものですしね…。

すると、佐渡で30年以上、食肉加工を営む方から興味深い話を聞くことができました。

「昔は米を作る時に、機械の代わりに牛を使っていたんだよ。大事な労働力だから、牛小屋も家の中にあったし、牛は家族同然でね。だから、牛肉を食べるのには抵抗があった」

なるほど! であれば、他の米どころでも牛肉の消費額が少ないはず。そう思ってお米の生産量上位10県(農林水産省「平成23年産水陸稲の収穫量」)の牛肉消費額を照らし合わせてみました。

お米の収穫量   牛肉消費額
1位 北海道・・・47位
2位 新潟県・・・43位
3位 秋田県・・・41位
4位 茨城県・・・38位
5位 山形県・・・27位

確かに、いずれの県も牛肉の消費額が低いので相関性は否定できないけど、4位、5位と見ると何とも言えません。現代において農耕に牛を利用している農家は少なく、食生活がこれほど豊かになった現代において、かつての慣習が今も生き続けているとも考えにくい…。

この謎について、当の新潟県民も疑問に思ったようで『新潟の?』(朝日新聞新潟支局・著)のなかでもこの問題について取り上げられているものの、理由は不明とのこと。新潟県民の豚肉好きの理由は、結局ナゾのままですが、その背景には何か奥深い歴史がありそうです。
(長谷川浩史/梨紗)

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