世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

食中毒のおそれあり?

2012.07.05 THU

理化学ドリル


食品衛生法に基づき、この7月から販売を禁止されたレバ刺し。禁止期間は、厚生労働省によると“牛肝臓の生食の安全性を確保できる新たな知見が得られるまでの間”とされている
写真提供:PIXTA
【問1】平成23年度に発生した食中毒の原因食品として、以下3つを多い順に並べると?

(A)きのこ>ふぐ>貝類
(B)貝類>きのこ>ふぐ
(C)ふぐ>きのこ>貝類

【問2】平成23年度に死者が出た食中毒の原因食品として、当てはまらないものは?
(A)ふぐ
(B)ローストビーフ
(C)レバー

【解説】貝の食中毒が多いことに驚かれたかもしれない。なぜ貝は毒をもっているのだろう? 実は、もともと貝が毒をもっているわけではなく、毒をもったプランクトンを食べた貝の中に毒が蓄積されるのだ。貝毒は加熱してもなくならず、また、毒の有無で貝の味の変化もないので、なかなか厄介だ。
もう20年も前になるが、カナダに住んでいた頃、有名な貝料理のレストランで集団食中毒事件が起きて死者が出た。たくさん食べた人や高齢者のほうが症状が重い傾向がみられた。
毒をもったプランクトンは、毎年、4月から5月頃に増えるので、都道府県の水産担当部署がプランクトンや貝の毒をモニターして、基準値を超えた場合には、貝の出荷停止措置が取られるが、検査は完全ではないので、毎年、食中毒が出てしまう。美味しい貝でも、食べ過ぎにはご注意を。

[正解] 問1: B 問2:C


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

生肉が悪いのか、病原性細菌が悪いのか?



レバ刺し禁止令の波紋が広がっている。食品衛生上必要だという意見もあれば、死者が出ていないのだから個人の責任で食べればよいではないかという意見も根強い。私個人はレバ刺し愛好家ではないので、あくまで第三者として調べてみたが、たしかにレバ刺しを食べて死んだ人はいないようである。去年、(レバ刺しではなく)ユッケを食べて5人の方が亡くなったのが、今回の禁止令の直接の引き金となったようだ(無論、過去にレバ刺しによる食中毒は何度も起きている)。
生肉による食中毒の主な原因は大腸菌だ。大腸菌には人間に無害なものと、下痢などの症状を引き起こす有害なものとがあり、後者を「病原性大腸菌」と呼ぶ。その中でも、毒素を出して出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすものを「腸管出血性大腸菌」といい、O157とO111が有名だ。腸管出血性大腸菌が最初に発見されたのは1982年のアメリカ。日本では、1996年、大阪府堺市の学校給食によるO157の食中毒事件が最初の事例とされる。当時厚生大臣だった菅直人氏の発言により「貝割れ大根」が感染源とされ、日本中のスーパーから貝割れ大根が姿を消したり、発言の影響に驚いた菅氏が貝割れ大根をもりもり食べるパフォーマンスを見せたりした。
個人的には、生肉については、判断力のない未成年には禁止し、レストランのメニューに「細菌による食中毒のおそれがあります」と記すことを義務づけ、大人は自分自身のリスクで食べるようにすればいいのではないか、と感じている。
レバ刺しまでいかないが、私もステーキはレアで食べることがあるので、愛好家の気持ちはわかる。禁止令の是非の論議はまだまだ尾を引きそうだ。

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