銀座テアトルシネマがいよいよ5月末にクローズ…

閉館相次ぐミニシアターに未来は?

2013.03.27 WED


『天使の分け前』 4月13日(土)より、銀座テアトルシネマほか全国順次公開 (C)Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,Urania Pictures, France 2 Cinéma, British Film Institute MMXII
スコッチウイスキーの故郷スコットランドを舞台に、社会の底辺で生きる若者が人生の師とウイスキーに出会い、一世一代の大勝負に出る心温まるヒューマンコメディ『天使の分け前』。今年の5月31日をもって閉館予定となっている銀座テアトルシネマのクロージング作品だ。

1987年に開館して27年、銀座テアトルシネマは芸術性の高い作品を中心に上映するミニシアターとして映画ファンたちに愛されてきた。今回の閉館は、銀座テアトルビルの売却決定にともなう譲渡先との協議の結果だという。この他にも、銀座エリアでは古き良き昭和のたたずまいを残す老舗名画座シネパトスが耐震性の問題でこの3月31日に閉館する。

実は、様々な環境変化を受け、2010年ごろからこうしたミニシアターの閉館が相次いでいる。存続に最も大きな障壁となっているのは映画のデジタル化だ。映画製作の現場で35ミリフィルムからデジタルへと移行が進むなか、映画館はDCP(=デジタルシネマパッケージ。デジタル映画を上映するためのフォーマット)の導入が必須。だが、1スクリーンで数百万~1000万円といわれるデジタル映写機の設備費用が、ミニシアターには重い負担となっている。

また、大手シネコンとの競合も頭が痛い問題だ。これまでミニシアターが上映してきたアート系作品を上映するシネコンが増加したうえに、不況でアート系配給会社も減少。デジタル上映はもちろん、スクリーンが見やすいよう段差をつけた“スタジアムシート”など設備面や資金面で充実しているシネコンを相手に、作品と観客の獲得競争をしないとならなくなってしまったのだ。

だが、この状況下において独自の路線を打ち出し新規オープンしたミニシアターもある。序破急が運営する広島「八丁座 壱/弐」は2010年11月にオープン。和モダンを基調とした内装で、畳半畳分あるという座席は1脚ずつ職人が手作りしたという特注品。“壱”では3D上映も可能な最新設備が設置されている。一方、首都圏では2012年12月に「新宿シネマカリテ」が10年ぶりに復活オープン。DCP上映と35mmフィルム上映に対応し、バラエティに富んだ上映ラインナップと作品の世界観を反映させた室内ディスプレイで個性的に演出する。また、2013年2月にはキネマ旬報社が運営する「TKPシアター柏」が千葉県にオープン。キネ旬が独自セレクトした新作映画や過去の名作上映で映画ファンを魅了している。

ミニシアターの存在意義について疑問視する声もある一方、個性的な視点で作品セレクトし、劇場空間をプロデュースしてきた存在が失われるのを惜しむ声も多い。“隠れ家的な劇場”が今後も映画文化として存続することを願うばかりだ。
(足立美由紀)

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