世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

マッハ50の人工飛行物!

2013.04.18 THU

理化学ドリル


NASAが開発した無人航空機X-43は、2004年に大気圏内での史上最速となるマッハ9.6を記録した。一方、ボイジャーの速度をマッハに換算すると「マッハ50」(時速1200km=マッハ1で換算)。これは、空気抵抗のない宇宙空間だからこそ実現したスピードだ
画像提供/NASA
【問1】NASAの探査機ボイジャー1号に積まれているものは?

(A)地球上のヒトや動植物の写真集
(B)55種類の言語による挨拶などを録音したレコード
(C)冷凍保存した植物の種子

【問2】1977年に打ち上げられたボイジャー1号の寿命はいつまで?

(A)2020年
(B)2030年
(C)2040年

【解説】数年前、とあるクイズ番組に出演したとき、正解は「ボイジャー」だったのに「バイキング」と答えて司会者から笑われた。宇宙探査機の種類は多く、生半可に知識があったからまちがえたのだ…ハイ、言い訳です。
ボイジャーは木星、土星、天王星、海王星などの写真を撮影し、その謎を解明し、さらには太陽系から外に出て、知的生命体と接触し、人類からのメッセージを届けることを目的に計画された。
ボイジャーは木星、天王星、海王星にも土星のような環があることを発見し、それまで知られていなかった衛星もたくさん発見した。
ところで、ボイジャーに搭載されている「宇宙人へのメッセージ」は暗号化されている。解読に挑戦した科学者の多くが解読できなかった、という逸話もあるが、はたして宇宙人は解読できるのであろうか。ちょっと心配だ。

[正解] 問1: B 問2:A


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

惑星の重力がアシストした加速力



ボイジャー1号と2号は1977年に打ち上げられた。当時、たまたま木星、土星、天王星、海王星がうまく並んでいたため、ボイジャーが各惑星の万有引力と公転エネルギーを利用して、方向を変えたり、スピードを上げたりできて好都合だったのだ。惑星のエネルギーを利用して宇宙を航行することを「重力アシスト」とか「重力ターン」などと呼ぶ。
ボイジャーの当初の打ち上げ速度では、木星までしか到達できない計算だったが、重力アシストのおかげで速度が増し、今では太陽系の「へり」にまで到達している。ボイジャー1号の現在のスピードはだいたい秒速17km。なんと時速6万kmを超えているのだ(ボイジャー2号は少し遅い)。ちなみに、太陽系は銀河系内を猛スピードで動いているから、太陽が出す太陽風は、ちょうど空を飛ぶ火の玉みたいに歪な格好をしている。
ボイジャーの機器は原子力電池で稼働している。これは、放射性物質が出すエネルギーを電気エネルギーに変換するもので、ボイジャーの他にも宇宙探査では頻繁に使われている。太陽光パネルを搭載した人工衛星のイラストをよく目にするが、太陽系の外に出かけていく探査機の場合、太陽光が届かなくなるから、長持ちする原子力電池が必要なのだ。ボイジャー1号は2020年、2号は2030年まで電池が持つといわれている。電池が切れた後は通信ができなくなるが、遠い星系の知的生命体を目指して飛び続けることになる。
ところで、ボイジャーは計画当初、マリナー11号、12号という名前だった。マリナー計画は火星、金星、水星の惑星探査につけられた名称である。だが、外惑星を観測して太陽系の外に飛び出すことになったため、ボイジャー(=冒険的航海者)というネーミングになったのだ。

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