世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

新型国産ロケット、世界へ?

2013.06.06 THU

理化学ドリル


これまでのロケットは点検や打ち上げ準備に数百人の人員と数カ月の期間が必要だった。イプシロン・ロケットでは人工知能が点検作業を行い、構造も簡素化されるため組み立て期間が大幅に短縮できるとされている
画像提供/JAXA
【問1】JAXAが開発中の新型ロケット打ち上げ費用は、以前と比べてどのくらい?

(A)これまでの約2分の1
(B)これまでの約3分の1
(C)これまでの約4分の1

【問2】次のうち、イプシロン・ロケットに当てはまらないのはどれ?

(A)巨大ロケット
(B)モバイル管制
(C)ロケット花火のようなロケット

【解説】JAXAのHIIAロケットは、連続打ち上げに16回成功し、成功率は95.5%、その増強型のHIIBロケットは、3回の打ち上げ全てが成功している。いまや日の丸ロケットは、世界水準に照らしても、きわめて信頼性の高いロケットと評価されている。
とはいえ、宇宙先進国のアメリカ、ヨーロッパ、ロシアなどと比べると、まだまだ打ち上げコストに問題があることも事実だ。つまり、技術的には、世界と伍して戦えるレベルに到達したものの、日の丸ロケットを「商売」として軌道に乗せるためには、さらなるコストダウンが必要なのだ。
そこでJAXAでは、大幅に打ち上げコストを抑えたロケットを開発中だ。それがイプシロン・ロケット。今年、試験機が打ち上げられる予定だが、商業的な成功につながるだろうか。

[正解] 問1: B 問2:A


竹内 薫 たけうち・かおる 1960年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。マギール大学大学院博士課程修了(専攻は「超ひも理論」)。科学誌『Nature』などの翻訳も手がけるサイエンスライターであり、SF的な小説も執筆する。著書に『理系バカと文系バカ』(PHP新書)、『宇宙のかけら』(講談社)など多数

パソコン1台でロケットを発射!?



イプシロン・ロケットには、様々な特徴があるが、これまでのHIIA、HIIBロケットと比べて、固体燃料、小型、モバイル管制である点などが特に注目される。
HIIA、HIIBロケットは液体燃料だったが、イプシロン・ロケットは固体燃料。これは、ようするに、子供が遊ぶロケット花火を「実物大」にしたようなもの。固体燃料だと、胴体に火薬が詰まっているので、全体を頑丈に作る必要があり、大型ロケットには向かない(頑丈で重くなりすぎるから)。
つまり、イプシロン・ロケットは、固体燃料を採用したことにより、小型ロケットになる宿命なのだ。小型だと商業ベースに乗らないのでは? という疑問も湧くが、そんなことはない。いまや人工衛星の小型化も進んできているので、小型ロケットで小型の人工衛星を打ち上げる、という需要は確実に見込まれる。
固体燃料を採用すると、(液体燃料をエンジンに送るための)パイプが不要になるので、構造が簡素化される。だから、人工知能による機器類の動作確認が可能となり、打ち上げ時の管制も簡略化できる。イプシロンは、自らの人工知能で異常を検査し、パソコンと2名の管制官だけで打ち上げが可能になるのだ(モバイル管制)。これまで打ち上げまで2カ月かかっていた、点検・組み立て作業が、イプシロンだと1週間で済むというから驚きだ。まさに革命的な新ロケット「システム」なのである。
小型で安全で自動点検。インターネットにパソコンをつないでロケットを打ち上げる時代が到来しつつある。今年の8月22日には、惑星分光観測衛星(SPRINT-A)を搭載した試験ロケットが打ち上げられる予定。大きな宇宙イベントです。今から楽しみ~。

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