ポーカーの世界選手権で日本人が初優勝

「カードゲーム」で食べていくには?

2013.11.14 THU


米ラスベガスで開催された今年のWSOP(ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー)で、木原直哉さん(31歳)が日本人として初の優勝という快挙を遂げた。

この大会は、世界各国から達人が集合し、6、7月の2カ月間で計61種目のポーカー競技を戦うもので、いうなれば世界選手権のようなもの。木原さんは400人以上が参加した34番目の競技を制したのである。優勝賞金はなんと4000万円超え…。

NPO法人日本ポーカー協会の伊東力理事は言う。

「ポーカーは他のカードゲームに比べて、圧倒的にスキルを要求されます。国にカジノが存在しない日本人は始めからハンデがあり、それを海外などでスキルアップをはかり、WSOPで優勝した木原さんの快挙は称賛に値しますね」

聞けば、木原さんのようにポーカーのプロとして海外を中心に活動している日本人は20~30人、世界では数万人もいるという。しかし、そもそもカードゲームのプロにはどうすればなれるんだろう。

「免許や資格があるわけではないので、ポーカーだけで生計を立てている人を便宜的に“プロ”と呼んでいるだけ。そういう意味では、ブラックジャックなど他のカードゲームも同様です。もっとも、ヨーロッパのカジノは18歳、アメリカは21歳以上じゃないと入場できません。こうした年齢制限はありますね」

木原さんご本人にも話を聞くことができた。プロとして食べていくのは、どれぐらい大変なことなんだろうか。

「僕は3年ぐらい前から“プロ”の状態です。ただし、プロは大勢いますが、5年後に生き残っているのは1割程度でしょう。それぐらいプレイヤーのレベルが上がってきているし、プレイ中に集中力を長時間保つには体力もいる。その証拠に、ここ数年の世界チャンピオンのほとんどが20代前半です」

木原さんは常に週40、50時間はプレイし、ゲーム感覚を研ぎ澄ます。海外のカジノでは1日12時間のプレイを25日間続けたこともあるという。

「好きだからやっているけど、決してラクな仕事じゃない。将棋や麻雀やバックギャモンも好きですが、ポーカーを選んだのは単純に収入が大きいから」

ちなみに、ポーカーが強い弱いというのは、どこで決まるんだろうか。

「ひとつひとつのプレイで、ベット、レイズ、フォールドなど、期待値の高い適切なアクションを取れるのが強いプレイヤーですね。逆に、弱いプレイヤーは期待値が高くない場面でもゲームに参加してしまうことが多い。つまり、優勢の時は利益を最大限に取る技術、劣勢の時は潔く降りる判断力が勝負の分かれ目です」

プロの収入は人によってバラバラだが、トップクラスになると年間数十億円以上稼ぐらしい。

なお、木原さんは「優勝しても生活は変わりませんよ。グルメや観光にもまったく興味がないですね。そんな時間があったらポーカーをしたい」とポーカーフェイスで言う。これぐらいの強い思いがないと、プロにはなれないんですね…。
(石原たきび)

※この記事は2012年11月に取材・掲載した記事です

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