保温した弁当も6分で凍り、エンジンをかけるには3時間も!

-60度「極寒の世界」のリアル

2014.02.20 THU


画像上/幻想的な風景の正体は雪に埋もれた木々(Niccolo Bonfadini/Solent News/Rex Features/アフロ)、画像右下/ロシアのヤクーツクでは2013年にマイナス46度を記録(ロイター/アフロ)、画像左下/そのヤクーツクでは露店で冷凍状態の魚が売られている(ロイター/アフロ)
今年の冬、アメリカの東部から南部を大寒波が襲った。ナイアガラの滝が凍るという、前代未聞の現象も記憶に新しい。しかし、世界には我々の想像を遥かに超える「極寒の地域」がある。その最たる場所が南極だ。果たしてどんな世界が広がっているのだろう? 同地域への観光ツアーを扱う、ポーラークルーズの田島和江さんに伺った。

「観光で南極に行けるのは夏の期間だけ。最も寒い南極点では、夏でも気温が最低マイナス30℃くらいになります。外に干した洗濯物はすぐ凍りますし、露出した肌もすぐ凍傷になります。ちなみに、南極には訓練を受けた隊員が観測基地に決まった期間だけ滞在するのみで、定住はできません。南極大陸は氷層の上にあるため植物が育たず、冬は気温がマイナス60℃以下になることもあるほど。人間が住める環境ではないのです」
マイナス60℃とは驚き。実際どれほど厳しい寒さなのだろう? 日本の越冬隊が滞在する昭和基地で、2008年12月から1年強を調理担当として過ごした料理人・篠原洋一さんに、当時の生活を振り返ってもらった。

「野外調査のときに、ランチジャーで持っていったお弁当が食べている途中で凍ったことがありました。時間にして6分くらいです。また、とくに気をつけていたのが雪上車に軽油を入れるとき。手に軽油がつくと一瞬で揮発して即凍傷になってしまうので、厚手の手袋で作業します。ちなみに、使用する軽油は南極の環境に合わせた特殊な精製を施したもの。内陸の高所で車を運転するときは、エンジンをかけるためのエンジンが必要で、試運転を含め、出発まで3時間ほどかかります」

なお、世界の観測史上における地上最低気温は1983年7月21日に南極で記録したマイナス89.2℃。もはや、呼吸するだけで生命が危険にさらされる気温である。日本列島も今まさに寒さのピークだが、南極に比べるとまだ序の口かも?
(末吉陽子/やじろべえ)


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