どんな経緯で採用される?

列車のご当地メロディができるまで

2014.04.02 WED


4月8日から京王線聖蹟桜ヶ丘駅の列車接近メロディに「カントリー・ロード」が導入されることとなった。これは、同駅周辺がアニメ映画『耳をすませば』のモデル地とされているためで、映画ファンや鉄道マニアなどを中心に話題になっている。

「『カントリー・ロード』は地元の方にもなじみやすく、また訪れた方や映画ファンへのおもてなしとして効果を期待できることから、多摩市と共同で発案し採用することになりました」(京王電鉄広報部)

今回、導入のきっかけとなったのは地域の人々。この地を訪れる人に映画の雰囲気をより深く感じてもらいたいという思いから発案されたようだ。同駅のように、列車の接近時や発車の際にご当地の曲、いわば“ご当地列車発着メロディ”を流す駅は多いのだが、これらの多くは地域の人々からの要望で生まれるという。ご当地メロディを使用する駅を数多く持つJR東日本広報部にもお話を伺った。

「電車の発車メロディについては、地元の市区町村や商店街などから『この曲を使ってほしい』との声が上がり、社内で導入を検討・調整するケースがほとんどです。とはいえ、その地域や駅との関連をお客様にご理解いただけるような曲でなければ導入には至りません。そして何より、このようなメロディはホームの安全のために流すものですので、乗車の際にお客様に聞こえにくいと判断されるような場合には、導入は難しくなります」

では具体的にどのような曲が今までに採用されてきたのか。以下にいくつか紹介する。

JR水道橋駅:『闘魂こめて(読売ジャイアンツ球団歌)』→読売ジャイアンツの本拠地・東京ドームがあるため
JR蒲田駅:『蒲田行進曲』→同名映画の舞台が同駅周辺だったことから
JR深谷駅:『おねぎのマーチ(深谷市市歌)』→ねぎの産地として有名なことから市がPR活動の一環として提案
JR駒込駅:『さくらさくら』→ソメイヨシノ発祥の地をPRしようと地元商店街が提案
小田急登戸駅・向ヶ丘遊園駅:藤子・F・不二雄アニメ作品の主題化曲→「藤子・F・不二雄ミュージアム」のオープンに合わせ導入
京王八王子駅:音楽グループ「FUNKY MONKEY BABYS」の楽曲『ヒーロー』『あとひとつ』→八王子出身である同グループの新曲発売に合わせて、京王電鉄が実施

JR蒲田駅の『蒲田行進曲』は、1997年に導入されたご当地列車発車メロディの先駆け的存在。また、なかには期間限定のものや、登戸駅・向ヶ丘遊園駅のように1駅で数曲使用しているケースもある。1駅で1曲しか使わない場合は、安全面を含め利用者にとって上り方面か下り方面かがすぐ分かるようホームごと違うメロディを流さなければならないため、冒頭の聖蹟桜ヶ丘駅などは1番線にAメロ、2番線にサビ部分を使うなどして差別化している。

楽曲が決まると、1曲のうちのどの部分を発車メロディとして使用するかを検討し、最終的に曲をオルゴール調にして完成する。ちなみに、メロディを使用するにあたってはJASRACへの申請などが必要になり、楽曲によっては使用料を払うこともあるようだ。

ご当地列車発車メロディを使用している駅は全国各地にある。なにげなく降り立った駅で耳をすましてみれば、思わぬ曲との出会いがあるかもしれない。
(河合力)

※この記事は2012年4月に取材・掲載した記事です

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