あのニオイのもとを探究せよ 第4回

僕らの体臭は何m先まで届くの?

2014.05.25 SUN


「イヤなニオイを抑える方法には、ニオイ物質を分解してニオイそのものを抑える“脱臭”と、他のニオイ物質を使って悪臭を感じなくさせる“消臭”があります。最近は銀イオンでニオイを分解する脱臭下着などもありますね」(坂井先生) 写真提供/PIXTA
昼の日差しが強くなってきた最近では、歩いているだけでシャツの下にうっすら汗をかくことも増えてきた。制汗スプレーなどを使って抑えてはいるものの、ちょっと心配になるのが「自分の体臭」。他人の汗のニオイは気になるけど、自分のニオイってイマイチ自覚しにくいような? 実際のところ、体臭ってどれくらい遠くまで届くんだろう。

「ニオイのもとになる物質がどこまで届くかは、気温や湿度の高さ、風の有無といった環境に左右されるため一概には言えませんが、基本的に体臭は“自分の半径1m×高さ2m”の円柱くらいの範囲に漂っていると考えられています。これは人間のパーソナルスペースとほぼ等しい空間ですね。人は自分のパーソナルスペース内に他人が入ってくるとテリトリーを侵されたような嫌な気分になりますが、自分の領域に入ってくる他人のニオイも非常に気になるものです。その一方で、自分のニオイは日頃から慣れ親しんでいるために、嗅いでも脳が反応しなくなってしまうんですよ」

と教えてくれたのは、ニオイが人に与える影響を研究している東北大学大学院の坂井信之准教授だ。それじゃ、「口臭」とか「屁」みたいなニオイはどうなの?

「口臭や屁のニオイは体から勢い良く出るために、全身から漂う体臭よりも遠くまで届きますね。口臭ならば、口から前方に向かって2mくらいは拡散します。屁も同様で、おしりから2m程度は飛ぶでしょう。服を着ていればまっすぐは飛びませんが…」

前方2mといえば、テーブルを挟んで会話していてもほぼ確実に届く距離だ。自分のニオイが届く範囲は思ったよりも広いかも。

「ただ、日本人は欧米人と比べて常在菌や汗腺の数、汗の脂分などが違うため、体臭が強い人はあまり多くありません。実際には些細なニオイにもかかわらず、自分に強い体臭があると思い込んでしまうことを『体臭恐怖症』といいますが、その大半は心理的な思い込みが原因です。普通に入浴・歯磨きをして清潔を心がけていれば、あまり心配する必要はありませんよ」

暑い季節になるほどニオイが気になるもの。体臭を抑えるエチケットは忘れたくないけれど、過剰に心配しすぎなくてもいいのかも。
(呉 琢磨)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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