あのニオイのもとを探究せよ! 第5回

どんな食べものでも香料にできる?

2014.05.31 SAT


お菓子に使うバニラ・エッセンスは、フレーバーのわかりやすい例。本来はバニラの果実から成分を抽出して作るが、コスト面から人工的に合成された香料を加えた製品が多いそうだ 写真提供/PIXTA
スーパーやコンビニで買えるお菓子やジュースといえば、多彩なフレーバーが魅力。いろんな味を楽しめるから、お腹が減ってなくても興味本位で買っちゃうこともしばしばだ。そんな食品のラベルを眺めてみると、原材料欄にほぼ必ず含まれているのが「香料」の2文字。これって一体どんなもの?

「香料とはその名の通り、食品や化粧品に香りをつける材料で、大きく分けて動植物などの天然物質からニオイ成分を採り出す“天然香料”と、人工的な物質から化学的に作る“合成香料”の2種類があります。形態としては、採り出したニオイ成分を水や油に溶かしたり、粉末や微粒子状にしたりして、様々な食品に添加できるようにするんです。ちなみに、食品に用いる可食性の香料をフレーバーと呼び、化粧品などに使われる香料はフレグランスと呼んで区別するんですよ」

と教えてくれたのは、香料メーカーの調香師として長年働いた経験を持つ日本香料工業会の金井弘好さん。では、そういう香料の種類ってどれくらいあるの?

「技術的にはどんな物質からでもニオイ成分を採ることができるので、香料は無限にあるともいえます。ただし、日本国内では人体への安全性などを考慮して、香料として使える原料が法律で定められているんです。天然香料の原料として認められている基原物質は約600種類。合成香料の元になる物質はもっと多くて、約3000種類といったところ。これらの香料を調合することで、多種多様なニオイを生み出すことができるわけです」

それだけあれば、確かにどんなニオイでも作れそう。ってことは、松茸とかトリュフみたいな高級食材のニオイも調合できちゃうの?

「既存の香料の組みわせでほとんどのニオイが作れますが、フレーバーはおいしそうな食品のニオイや風味を“再現”することが目的。もし作れないニオイがあっても、再現したい食品そのものからニオイ成分を採り出してしまうことが可能なんです。例えばステーキからだってニオイ成分は採れますからね。現実的にはコストなどの問題がかかわってきますが、今の技術ならどんなニオイでも香料にできるといっていいでしょうね」

僕らが食べものから感じる「おいしさ」は、味覚だけでなくニオイが大きく影響する。多彩な風味を手軽に味わえるのも、発達した香料技術のおかげというわけか。
(呉 琢磨)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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