あのニオイのもとを探究せよ! 第7回

「雨のニオイ」は下水のニオイ?

2014.06.16 MON


山や高原などのアウトドアで雨に降られると、「雨のニオイ」が都会よりも強烈に感じられる。これは、ニオイのもとである土と植物が多いからだったのだ 写真提供/PIXTA
暑い夏を前にして、毎年恒例の鬱陶しい梅雨シーズンがやってきた。ジメジメする長雨は嫌いだけど、雨の日の空気って独特のニオイがして、外を歩いているとなんだか懐かしい気分になったりもする。あの「雨のニオイ」の正体って一体なんなの?

「雨自体はタダの水分なのでニオイはありませんが、いわゆる“雨のニオイ”と呼ばれるものは、降る前と降った後で別々の物質がもとになっているんです。まず、雨が降る前に大気中の湿度が上昇すると、地面に生えている植物に含まれる鉄分や油分が湿気に反応して、『ペトリコール』という独特のニオイ物質を発散します。雨が降り始めるとペトリコールは洗い流されてしまうので、厳密には“雨が降りそうなニオイ”ともいえますね」

と教えてくれたのは、ニオイが人に与える影響を研究している東北大学大学院の坂井信之准教授だ。やっぱり植物由来のニオイなわけか…じゃ、雨上がりのニオイは?

「雨が上がった後の空気は、少し埃っぽいニオイがします。これは雨で湿った土壌に含まれる細菌や微生物が発散する『ゲオスミン』という物質のニオイで、人の嗅覚はこのニオイに対して非常に敏感だといわれています。ギリシャ語で“大地のニオイ”という意味の名前なんですが、実は下水道から発生するカビ臭いニオイと同じ成分なんですよ」

げげげ、下水と同じニオイだったとは。なんとなく懐かしくて好きなニオイだっただけに、ちょっと複雑な気分になる。

「雨のニオイに懐かしさを感じるのは決して本能的なものではなく、雨のニオイを嗅いだ記憶を呼び起こされるからです。最近の都会で育った子供のように、幼少期から周囲に植物や土が少ない環境で暮らしていたら、大人になっても雨のニオイに郷愁を覚えたりはしないかもしれませんね」

外で遊ぶのが楽しかった子供時代、学校のグラウンドや公園を走り回った思い出なんかが無意識に想起されるからこそ、雨のニオイは懐かしいわけか。その正体が下水のニオイだとしても…やっぱり嫌いにはなれないかも。
(呉 琢磨)

※この記事は2012年6月に取材・掲載した記事です

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