それでもあなたは天然神話を信じますか?

魚 天然vs.養殖 美味いのは?

2014.09.05 FRI


和歌山県串本町の沿岸にあるマグロなどの養殖いけす(写真)。海水魚での養殖が本格化したのは1960年ごろからと意外に歴史は浅い。マグロやサバは、近年養殖技術が確立したばかり 写真提供/時事通信社
魚はやっぱり天然ものに限る、なんて当たり前のように思っています。でも、よくよく考えると、肉の場合は交配を重ねて品種改良してビールを飲ますなど、手塩にかけて育てて方が旨いとされています。実際のところ、養殖魚の味ってどうなんでしょうか?

「もちろん天然もののレベルなどにもよりますが、事前に情報を与えないブラインドテストなら、ブリやマダイ、ヒラメ、トラフグなどは、すでに天然ものと遜色ないか、それ以上の結果が出るところまで来ています」と社団法人全国海水養魚協会の稲垣光雄さん。

なるほど。では、養殖魚ならではの強みって?

「たとえばブリなどは、天然ものは旬の時期を外すとパサついたりして一気に味が落ちてしまいます。しかし、養殖の場合は脂ののりなどをコントロールでき、年中一定水準以上の味を保つことができます。つまり、いつでも旬に近いものを楽しむことができるんですよ」(同)

実際の市場価格も、旬の時期以外では天然より養殖が高くなる逆転現象が起こるのだとか。ところで、養殖できる魚とできない魚の違いってどこにあるのでしょうか?

「現在、海水魚で養殖・出荷されているのは20~25種類くらいです。養殖魚の条件は、1、生産コストを上回る市場価値があること。2、一定量の種苗(稚魚)が確保できること。3、飼育技術が確立していること。おおまかにいえばこの3点がそろうことです」(同)

なるほど、価格の安いイワシ類やめったに食卓にあがらず飼育も難しいマンボウなどは適さないというわけですね。でも、今後、養殖技術がさらに進化すれば、天然ものではそれほどおいしくなかった魚を激ウマに育てたりして、新たな市場が生まれる可能性もあるのでは? たとえばマンボウの大トロとか(笑)。

「味とは別に、病気に強い魚や成長の良い魚など品種改良の余地は十分にあります。でも、改良魚は、まだ消費者にそこまで受け入れられる段階にはいたっていないのが現状です。ただ、食糧問題などを考えますと、そういう方向性も近いうちに出てくると考えています」(同)

となると、そろそろ僕らが「絶対に天然>養殖」という思い込みを捨てる時が来ているのかもしれません。今度お寿司屋さんで「大将、いきのいい養殖ものある?」なんて言ってみようかしらん?
(静浩太/サグレス)

※この記事は2010年11月に取材・掲載した記事です

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