ギネスブックに登録された貴重な観光資産

「世界一狭い道路」が消滅の危機

2014.09.23 TUE


YouTubeに投稿されたシュプロイアーホフ通りの動画「Die engste Gasse der Welt」 ※この画像はサイトのスクリーンショットです
ドイツ南西部、シュヴァーベン地方のロイトリンゲンには、世界中から観光客が訪れる有名な“通り”があります。その通りの名は「シュプロイアーホフ通り」。いったいなぜこの通りを目当てに観光客がやってくるのか?

理由は通りの“幅”にあります。実はこの通り、“世界一狭い道路”としてギネスブックに登録されているのです。どれだけ狭いかというと、なんとたったの12.2インチ(約31センチ)。YouTubeで「Die engste Gasse der Welt」という動画をご覧いただくとわかりますが、子どもでもカニ歩きをしないと通れないほどの狭さです。

2番ではダメなんですね。やっぱり1番でないと。これといった特産品のない小さな街にとって「世界一」の称号が持つ力は大きく、得られる恩恵は小さくありません。

ところが現在、世界一の座を明け渡す危機、というか、通りそのものが消滅する危機に立たされています。理由は「道の両側の家が老朽化のせいで傾き始め、だんだんとふさいでいっているから」。世界一の狭さを生み出しているのはある意味両側の家だというのに、住人は世界一の座を守るつもりはないのでしょうか?

地元観光協会のウルマー氏は「壁が崩れ、誰も通れなくなってしまったら、もうそれは道路とは呼べません。謙虚なことで知られるシュヴァーベン地方の人たちを象徴した通りだけに、残念でなりません」というコメントをしています。

世界各国からの旅行者が訪れるのは、言うまでもなくこの通りが世界一だから。地元自治体としてはなんとか残しておきたいところでしょう。

ウルマー氏のコメントから推測するに、どうやら道を保護するためになんらかの策を打てる段階は過ぎているようです。両側の家に老朽化対策を強いることもできず、かといって公費を投じるわけにもいかないという悩みが、歯切れの悪いコメントの背景にある模様。仮に住人が建て替えるにせよ、現状の幅を維持するよう強制することはできない…という事情もあるかもしれません。

大きくても広くても、小さくても狭くても、“世界一”という修飾語がつけば立派な名所です。そこに価値を見いだして世界中から人が集まるのですから、道がなくならない方向で話が進めばいいと願っています。
(筒井健二)

※この記事は2012年9月に取材・掲載した記事です

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