昔の人の洒落心に感動!?

おせちの重箱、五段目の意外な中身

2014.12.17 WED


盛り込み方の模式図。なお、おせちの盛り方の作法については、地域差があることを明記しておく
ため息が出るような、美しい盛り付けが目を惹く「おせち」。数の子=子孫繁栄、田作り=豊作を願う…など、それぞれの料理に意味があるように、詰め方、盛り込み方にも美意識にのっとった意味や作法が存在する。古くから続く日本の伝統、雑学として知っておくのも悪くないだろう。

●おせちの五段目に詰まっているものは?
最近は簡易的な二段、三段のものが多いが重箱は五段あるのが本来の形。そして、それぞれの段に詰めるものにも決まりがある。まず、一番上の壱の重には酒を飲みながらつまむ「三種の祝肴や酒の肴を中心とした料理」を盛る。三種の祝肴とは、正月を祝うのに特に欠かせない三つの料理で、関東方面では数の子、黒豆、田作りのこと。弐の重は「生ずしやなますなどの酢の物」を入れる。参の重は「海老や魚など焼き物」を入れ、与の重に詰めるのは「煮しめなどの煮物」だ。なお、四の重ではないのは四=し=死、という連想が働くため。

では五段目はなにを入れるのか…。その答えのひとつは「なにも入れない」。とんちクイズのような答えだが、そこにはちゃんと意味がある。
「来年こそはいっぱいに詰められるように」との願いだ。いや昔の人は上手いこと考えたもんです。

ただ、これは地域によっても異なり、「預かり重(預け重とも)」といって壱から与の重までに詰め切れなかったものを、補充用として入れておくことも一般的だ。この他にはお屠蘇の器を入れておくという場合もある。

●盛り方のトリビア
お重の盛り付け方にも決まりがあり、それぞれ名前もついている。
・市松
歌舞伎役者が身に着けた袴の模様からの名前。9つの格子状に分ける盛り付け方
・段取り
複数の段に分けて盛り込むところからの名前。横一列に盛り付ける
・升詰
一升ますの模様のように盛り込むことからの名前。斜め一列に盛り付ける
・七宝
仏教で貴重なものとされる七種の宝から来ている名前。中央に1種類、その周りを取り囲むように6種のおせち料理を盛り付ける
・隈取り
四隅に料理を盛り付け、中央と区別するように盛る

これらはさらに、真書、行書、草書といった書道の書体にもなぞらえられている。「真」がより正しい盛り方とされ、市松、段取りがこれにあたる。「草」は風雅に崩した盛り方で、隈取りがここに入る。「行」は升詰や七宝で、「真」と「草」の中間的な盛り方になる、といった具合だ。

早く器を空けるため、食べ進めたおせちを一つの段にまとめてしまうことは多い。しかし、これではせっかくの見た目が台無しになってしまう。盛り方を意識して詰めなおしてみると、引き続き晴れの気分で箸をつけられそうだ。

記事協力・監修:辻調理師専門学校日本料理教授・橋本宣勝さん
(文 のび@びた)

  • 代表的な盛り方「市松」の例

    画像提供:辻調理師専門学校

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