名前の不思議調査隊/第9回

やっぱり華やか。花に関係する名字

2015.01.08 THU


薔薇さんと聞くと、こんな人をイメージするけど… イラスト/カセユミコ
世のなかには様々な名字がありますが、使われる文字によって受ける印象もまた様々です。例えば花に関係する文字が入っていると、なんとなく綺麗な印象ではないですか? 個人的には、特に具体的な花の種類の名字ってちょっと憧れるんですけど。
そもそもそんな名字は珍しいように感じますが、いったいどんなものがあるんでしょうか?

「椿さんをはじめとして、菊さん、蓮さん、百合(ゆり)さん、朝顔さん、桔梗(ききょう)さん、菖蒲(あやめ)さん、馬酔木(あせび)さん、芭蕉さん、桜さん、梅さんなど、意外と種類が多いですよ。そういえば薔薇さんもいらっしゃいますね」

そう教えてくれたのは名字研究家の高信幸男氏。ほう。そもそも、そういった名字は、どんな人がどのように考えてつけたと考えられますか?

「明治8年に名字をつけることが義務化されたのですが、その時に名字を考えたご先祖が、その草花を好きだったか、またはそれらを育てる職業だったのではないかと思います。あとは地名から取っているか、何かの当て字でつけたという可能性もありますね。何にせよ、名字が存在するということは、古くから日本人と関係が深かったものと考えられます」

しかし薔薇というのは、昔の日本人とかかわりが薄そうな気がするんですが…。

「いや野薔薇やイバラというのは、江戸時代にもあったようです。実は“茨城県”という名前のルーツは、このイバラからきているという説もあるんですよ」

ほほう。当時から日本にあったものや言葉が分かるのは面白いですね。ちなみに、果物の名前が名字になっているケースもありますか?

「ありますよ。桃さん、梨さん、林檎さん、杏さん、柿さん、枇杷(びわ)さん、柚さん、橙(だいだい)さん…。林檎さんは東北に多くいますし、杏さんは長野県周辺に、柿さんは石川県周辺に多く、やはりそれぞれの果実の産地と深くかかわりがあるようです」

春には池のほとりで菖蒲を見ながら、枇杷をがぶり。夏になると山に咲いた芭蕉を眺めながら、杏をぱくり…。名字を知ることで当時の生活のワンシーンが想像できるのが、なんだか感慨深いですね。

(山葉のぶゆき/effect)

※この記事は2012年01月に取材・掲載した記事です

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