脳科学で考える「ストレス対処」の鉄則とは?

メンタルの鍛え方 手本はイチロー

2015.02.06 FRI


様々な体の不調の原因にもなるストレス…。軽減させるコツを覚えよう!
「あの人はメンタルが弱い」なんて言葉を日常生活でよく耳にする。かくいう筆者もそんな自覚のある社会人のひとり…。メンタルが鍛えられるものなら鍛えたい! そこで、脳科学の視点から企業向けやプロアスリートなどにメンタルトレーニングを行っている、日本メンタル再生研究所所長・山本潤一氏に話を伺った。

「『メンタルが弱い』というのは、周りの人の顔色・言動で心が動揺しやすい、ということです。メンタルが弱い人には、周りの目を気にして自分の感情を抑え込む(自己抑制が強い)、家族や職場に味方がいないと感じやすい(情緒支援認知度の低下)、不安を感じやすい(不安傾向尺度が高い)などの特徴があります。これらは筑波大学名誉教授・宗像恒次博士が開発した心理テストによって割り出すことができるんですよ」

山本さんによれば、欧米人の自己抑制度の平均点は20点中3~4点前後であるのに対し、日本人の自己抑制度の平均点は約9点とのこと。

「この数字が示すのは“周りの目が気になって本音が言えず、自分のことを支えてくれる人もいない”という現代の日本人が抱える問題そのものです」

もはや日本人の特徴ともいえる“メンタルの弱さ…”。一体どうすれば解消できるんでしょうか。

「人は自分がコントロールできないものに対してストレスを感じます。自己抑制度が強い人ほど、自分がコントロールできないものに照準を合わせてしまうんです。たとえば、『100件契約をとる』という目標を掲げるのは、相手の意向によって結果が左右されてしまうため、自分ではコントロールできない目標といえます。解決策は、コントロール可能な目標に置き換えること。上司に『100件契約を取れ』と言われたら、それを目標にするのではなく『1日30件営業電話を入れる』など、自分で実現可能なものに置き換えること。MLBのイチロー選手は、『今年は首位打者をとれますか?』などと質問されると、『結果がどうなるかはわからない。ベストを尽くします』と答えますよね。それと同じです」

自分がコントロールできること――すなわち結果ではなくプロセスに目を向けることが、メンタルを強くするカギなのだ。

「また、誰にも相談できない状況にいる場合は、自分の気持ちを口に出す必要があります。『不安に感じること』などを素直に言うだけで、不安緊張を作り出す脳内神経伝達物質のノルアドレナリンの分泌量が低下し、心が安定するという研究結果があります」

「どうせわかってもらえない」と口をつぐむ前に、少しでも言ってみる価値はありそうだ。

一方で、幼少期に決まってしまう「メンタルの強さ」もあるという。脳の感情の発電装置といわれる部位、扁桃体がメンタルに大きく影響していると山本さん。扁桃体は3歳ごろまでに完成してしまい、相手の表情に勝手に感情的反応を起こすので、意思の力でコントロールするには限界があるという。対処法はないのだろうか。

「自分にとって心地いいと思える表情には、扁桃体を落ち着かせる作用があります。ですから、家族や恋人、安心できる友人の写真を身近に置くことをオススメします。ストレスを感じた際には、それを見れば落ち着くはずですよ」

会社のデスクに家族の写真を置くという行為は、とても理にかなっているのだという。ただ、扁桃体の感受性を落ち着かせるのは、本来非常に専門的なメンタルトレーニングが必要なので、コントロールできないと感じた時はメンタルトレーニングの専門家に相談してほしい、とのこと。

ストレス社会を生き抜くためには、ちょっとしたコツがあるよう。仕事のプレッシャーに押しつぶされそうになったときは、思い出してみます!
(大貫未来/清談社)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト