もっと知りたい占いの雑学/第5回

占いに詳しいのは知識階級の証し?

2015.03.07 SAT


為政者が自然災害の予測を立てたり、天候の変化を知るためなど、今後起こりうることを知るため占いは重要視された。その昔、占いはデキる男の必修スキルだった!?  イラスト/中垣ゆたか
みなさん、占いにどんなイメージがありますか? ただの迷信? おまじないのたぐい? いずれにせよ現代では非科学的なもの、学問とは正反対の位置づけの存在に落ち着いています。でもどうやら、元はかなり“高尚なもの”として存在していたようです。例えば易。

「四書五経、というのをご存じでしょうか。孔子が作った『儒教』の教科書ともいえるものなのですが、そのなかで論語などと並ぶものの一つにあるのが易占いの経典『易経』なんです。のちに中国にはエリート層である官僚が通らねばいけない試験、『科挙』制度出来るのですが、合格のためには四書五経の習得が必須。当時進んだ文化、文明を持っていた中国という国で、易という占いは知識階級の学問だったんですよ」

そう教えてくれたのは、易に詳しい占い師の冨樹麗舟さん。いや正直いいますと、易占いって、筮竹(ぜいちく)…あの竹ひごの先っぽに当たりはずれが書いてあって、引いただけでだいたいわかったとするような、おみくじの発展系ぐらいに思っていました。

「筮竹を引いても、そこに何か書いてあるわけではありません。決められた手順で取り分けていって、最後に残った本数で占いの結果を立てるのですが、その手順も複雑ですし、すべてを理解するには膨大な知識が必要になります。ちなみに平安時代もしくはその前後の時代に出来たとされ、日本の最初の学校といわれる『足利学校』でも、兵学、医学と並び易学は学ばれていたんですよ」

同様に、タロット占いも、そうした知識階級に愛されたものだったという。易の筮竹に対し、タロットのカードには死神だとか、魔術師だとか、見ればなんとなく意味がわかる絵が描いてありますから、素人でもわかりやすい感じがしますが。そもそもどんな占いなんでしょうか?

「タロットの起源は諸説ありますが、現代の形になったのは15世紀ごろのヨーロッパと言われています。もともとは貴族や富豪の間で流行したカードゲームのひとつでもあったようですが、様々な手が加わりやがて占いのひとつとして確立しました。これもただ単に『死神のカードを引いたから悪いことが起こる』というような単純なものではなく、読み解くには本来、大変な知識を必要とするもの。易にせよタロットにせよ、当時は一般庶民の持ち得ぬ知識を持ったうえで、さらに神ともいえる超自然的な存在との交信が出来るということですから、特権階級のものだったといえます」

占いの存在って、時代によってとらえかたが全然違うんですね。かつて、占いは知識階級の“教養”だったとは。ちょっと興味が出てきました。

「例えば『易経』ですが、日本語訳が岩波文庫からも出ています。ちょっと難しめですが、機会があればぜひ手に取って読んでみてください。別に占いにどっぷり浸る必要はありませんが、そこには人生を豊かにすごすのに必要な教訓がつまっていますから」

なんといっても中国の五経ですからね、読めば利口になれそうな気がします。当時は軍師が戦略を立てるときに利用したということですから、ビジネス、そして人生というという戦場にも役立つことがあるかもしれません。

(のび@びた)

※この記事は2012年3月に取材・掲載した記事です

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