ゲレンデ、温泉、ゴルフ…ビギナーを掘り起こせ!

若者向け「無料・格安プラン」続々

2015.03.22 SUN


“若者離れ”に悩むもうひとつの代表格が「ビール」。ホットペッパーグルメリサーチセンターでは、「21歳」を対象に、都内100店舗以上の飲食店で、生ビールを無料で 飲める企画「ビアマジ!21」を5月末まで実施中
突然ですが、クイズをひとつ。
Q)「ゲレンデ」「旅行」「ゴルフ」「ビール」…これらのキーワードに隠された2つの“共通点”はなに?

答えの1つは、いずれも「若者の○○離れ」の「○○」にあてはまる言葉という点。皆さんも、「最近の若者は内向き」とか「消費意欲が低い」なんて話を聞いたことがあるだろう。

もちろん「最近の若者は…」というセリフはいつの世も繰り返されてきたおじさんの大好物。鵜呑みにするのはナンセンスだろう。だが、本当に“若者離れ”が進んで市場が先細りしたら、業界としては困ってしまう。日本経済としても由々しき問題だ。

そこで上に挙げた業界では、“若者離れ”を食い止めてビギナー市場のすそ野を広げるべく、「無料・格安プラン」を続々と仕掛けている。それが2つめの“共通点”だ。

その火付け役となったのが、リクルートのじゃらんリサーチセンターが企画し、2011年からスタートした「雪マジ!19」なるプロジェクト。3季目となるこの冬は19歳限定で、日本全国170以上のゲレンデでリフト券が無料になっているキャンペーンだ。2季目だった昨年は10.8万人が登録し、ゲレンデに足を運んだ、のべ人数は推計34.6万人に上るという。

そんなにたくさんタダにして損しないの?…と気になってしまうが。心配ご無用。新規客が増えることの“経済効果”のほうが短期的にも長期的にも大きいからだ。仕掛け人のじゃらんリサーチセンター主席研究員・加藤史子さんはこう語る。

「スキーやスノーボードは、年齢が上がるほど参加率が下がる傾向にあります。若い時にやったことがなければ、中年になってデビューする人はあまりいません。将来市場を耕すカギは、若い層をなるべくたくさん取り込むことにあるんです。ゲレンデとしては、お客様が多くても少なくても、リフトを動かしたりゲレンデを管理する固定費用はほとんど変わりません。これまで来なかった層が“無料”をきっかけに訪れて現地で消費してくれれば、メリットのほうが大きい。さらに、その人たちがリピーターとなってくれれば、将来につながる。いわばレバレッジの大きな投資なんです」

実際、初年度に参加した19歳のうち、20歳になってからもゲレンデにリピートした人は92%に上るという。狙い通り、将来市場の開拓に成功したわけだ。

こうした動きに刺激され、他業界でも「無料・格安プラン」で若者=ビギナーを引き付ける取り組みが相次いでいる。

全国に高級旅館・リゾートを展開する星野リゾートもそのひとつ。「若者の旅行離れ」を食い止めるべく、昨年6~7月と今年1~2月に20代限定で格安の宿泊プランを実施。通常「1泊2食付き4万円程度」の温泉旅館「界」を1万9000円で提供した。同社の星野佳路社長が若者と接し、危機感を抱いたことがきっかけだったという。キャンペーン実施後、同旅館の20代シェアは約2倍に増加したとか。

一方、ダンロップスポーツの「+G(プラス!ゴルフ)プロジェクト」は、初心者を対象に、年24回のレッスン(1回60分)を総額3000円で受講できる「ゴルフ・スタートアップ・プログラム」を実施。ゴルフクラブも1年間無料で借りられるほか、ラウンドレッスン等のイベント優待まで含まれる。昨年10月から第1期をスタートし、今年4月から第2期も始まるが、いずれも大好評で20代ビギナーからの応募が殺到したという。

旅行もゴルフも「若いときに慣れ親しんで経験しておかないと、年をとってから始めるハードルが上がってしまう」のは、スキー・スノーボードと同じ。ゴルフの場合、"初めてから楽しくなるまで”の平均年数は約2.7年というデータもあるという。

「無料・格安プラン」で入門のきっかけがつかめるなら、若者にとっても嬉しい話。“若者離れ”に悩む業界から同様の企画が次々と登場したら、景気回復に一役買いそうだ。〝若者離れ”の代名詞ともいわれる「クルマ」も、いっそ3年間無料でレンタルとかしてくれたら、蜜の味を知った若者が“クルマなしではいられない体質になるかも!?
(目黒 淳)

※この記事は2014年3月に取材・掲載した記事です

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