人前で食べられない…。当事者のリアルな声

知られざる「会食恐怖症」の実態は

2015.04.27 MON


もし自分が会食恐怖症かも…と感じていたら、心療内科やメンタルクリニックに相談を。「会食恐怖症は、治療で治ります。症状について知り、意識を変えていきましょう」(市川先生)
入社や異動でやってきた新人や同僚。早く打ち解けようと飲み会を開いても一切参加しない、ランチに誘っても全然来ない…そんなケースがないだろうか。もちろん、「プライベートの時間を削られたくない」「外食のお金がもったいない」などの理由は人それぞれだろうが、実は「他人と一緒に食事ができない」という症状に悩んでいる人も一部にいるという。

「『会食恐怖症』と呼ばれる神経症(不安障害)で、対人恐怖症の一種です。家族や親しい友人以外との外食など、特定の食事の場面においてだけ不安感が強くなり、食事がのどを通らなくなってしまいます。原因は様々ですが、過去に飲み会で恥をかいたことがあるなど、ちょっとしたミスがトラウマになり、次第に人前で食事をすることに不安を覚えてしまったりするんです」

こう教えてくれたのは、飯田橋光洋クリニックの院長・市川光洋先生。市川先生によれば、こういった症状に悩まされるビジネスパーソンで診察に訪れるのは20~30代が多く、男女比は同じくらいだという。

「人は一度不安を覚えると、それを回避しようと行動が萎縮してしまいます。あれもこれもと避け続けているうちに、人と話すことすらできなくなってしまうこともあります」

症状の改善には、抗不安薬などを服用する手があるが、「これを飲まないと不安」という状態が続き、薬に依存してしまうことも。そのため、心理学的な側面から病状の鎮静・治癒を図る精神療法で解決していくことが多いそうだ。

「まず、自分がどういう場面で不安を覚えるのかを書き出してもらいます。そして、商談を兼ねた会食、会社の飲み会、同僚とのランチが挙がった場合、まずは手をつけやすそうな部分、例えば、同僚とのランチに参加することから行動を変えていきます。その際、必ずしも食べなくてもいいんです。不安があっても、そこに行くという行動を起こすことが重要な一歩。自分のできることを徐々に増やし、不安を和らげていくのです」

実際に症状を抱えている人は、どのように向き合っているのだろう? 会食恐怖症の人のための情報サイト「FD cafe」管理人に聞いた。

「私自身は、子どものころ、学校給食を『残さずに食べなきゃいけない』というプレッシャーがきっかけでした。そのため、自分の場合は、食べる量が決まっているランチなどはつらいものの、飲み会やバイキング形式など、誰がどの程度食べているのかを気にしなくてよい場なら大丈夫です。自分の苦手な場面がわかっているので、人と食事をする時はランチではなく飲み会を提案するなど、コミュニケーションに支障が出ないようバランスをとって対応しています」

症状に悩んでいても、カミングアウトできずに抱え込んでいる人が多いそう。「FD cafe」管理人は、「言い出すのはかなり勇気がいること。パートナーなど、誰か一人でもわかってくれる人がいるだけで、気の重さがだいぶ違い、改善につながることもあるのではないでしょうか」と話す。

当人が会食恐怖症かどうかは、見た目にはわからない。まずは、こういった症状に悩まされている人の存在を理解することが、状況改善の第一歩となりそうだ。
(南澤悠佳/ノオト)

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