あのニオイのもとを探究せよ 第3回

「お日様のニオイ」は何のニオイ?

2015.05.20 WED


タオルなどの布類にはニオイの元になる揮発性物質が特に付着しやすいため、「お日様のニオイ」も感じやすいんだとか 写真提供/PIXTA
天気のいい日中にベランダで干しておいた布団やタオルに顔を埋めると、全身からフーッと力が抜けていくような、なんとも言えない心地いいニオイがする。よく洗剤のCMなんかで「お日様のニオイ」といわれているあの香りだけど、実際のところ日光にニオイがあるとも思えないし、アレって一体何のニオイなんだろう?

「一般的にいわれる『お日様のニオイ』の正体は、布団やタオルに付着している汗や皮脂、それに洗剤などの成分が、太陽光に含まれる紫外線によって分解されて生じるニオイなんです。皮脂などが分解されると、アルデヒドやアルコール、脂肪酸といった揮発性の化合物に変化して、それが独特のニオイを放つんですね」

と教えてくれたのは、ニオイが人に与える影響を研究している東北大学大学院の坂井信之准教授。ということは、あのニオイのモトは僕らの体から出ているってこと?

「体臭そのものではありませんが、自分や家族など身近なヒト由来のニオイといえますね。我々には自分になじみのあるニオイを“いいニオイ”と感じる性質があります。例えば、小さな子供がいつも使っているタオルや毛布に包まると安心するように、『お日様のニオイ』も基本的に自分の体から出る物質がモトになっているため、どこか懐かしい感情が刺激されるんだと考えられます。実際に干した布団や洗濯物のニオイを嗅いだヒトの脳波を計測したところ、リラックス状態に近い周期のアルファ波が検出されたという実験結果もあるんですよ」

ちなみに、「紫外線を当てることで成分が変化する」なら、日焼けサロンなんかにある人工の紫外線ランプでも同じ効果が得られる?

「いいえ、太陽光に含まれる紫外線は大きく分けて『UVA』と『UVB』の2種類ですが、人工的な照明は人体への影響を考えて『UVB』が最小限に抑えられているんです。やはり天然のお日様に当てなければ、あのいいニオイは生じませんね」

うーん、太陽のパワーは偉大なり。普段はつい洗濯乾燥機を頼りがちな筆者だけど、今度の週末はベランダ一杯に洗濯物を干しまくろうかな。
(呉 琢磨)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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