動物界のイクメンチャンピオンは…?

雄が産む?驚異のイクメン動物6選

2015.05.28 THU


タツノオトシゴ:一般的な魚とはかけ離れた外見だが、これでも「魚類」。乾燥したものが「安産のお守り」とされる場合もあるが、子供をお腹で育てているのは実は… (イラスト/かたおかともこ)
「イクメン」がもてはやされる昨今。しかし、自然界にも人間と同様――いやそれをはるかに上回る育児能力を発揮するイクメンアニマルがいるという。そこで『身近な生き物の子育て奮闘記』(ちくま文庫)などの著書を持つ農学博士の稲垣栄洋教授に、興味深い生態のイクメンアニマルを教えていただいた。


1〈イクメンが極まり“産みメン”に進化!?〉
タツノオトシゴ
究極のイクメンアニマルを決めるなら、“ 出産”までを担当するタツノオトシゴのオスになるだろうか。オスは腹に育児嚢という袋を持ち、産卵自体はメスがオスの育児嚢にまるでペニスのような産卵管差し込んで行うが、その時点の卵は未受精。受精はオスの育児嚢の中で、さらに酸素や栄養分の供給も行われる。そうして1カ月の間、お腹で子育てをするのだからこれはもう出産といっていいだろう。

2〈オスなのに“産婆”にたとえられたカエル〉
サンバガエル
産婆(今でいう助産師。共に女性の仕事)の名を持つカエルであるが、卵塊を足に巻き付け、オタマジャクシになるまで育てるのはオスの役割。親は背中のイボから毒を出せるが、卵は無力。卵が捕食者に狙われないよう、卵を身に着けるという方法を選んだのだ。移動中も乾燥しきらないよう卵を水に漬けたり、皮膚から染み出る分泌液で湿り気を与え続けるなどし、1カ月の間卵を守り続ける。

3〈「授乳」までするイクメン皇帝〉
コウテイペンギン
「皇帝」の名を持つ最大のペンギンの産卵は天敵の少ない内陸で行われるが、そこはエサもない場所でもある。産卵後のメスは自身の体力回復と、ヒナへのエサを獲るため海に出かけてしまう。その間、オスは- 60度の厳寒の地で、卵を脚に乗せお腹で包むようにして4カ月も絶食状態で温め続ける。さらにはペンギンミルクという乳状の分泌物を口から出して“授乳”までしてしまうから驚きだ。

4〈“子育てマニア”の域に達した飛べない鳥〉
エミュー
エミューのオスはおよそ2カ月間、飲まず食わずで卵を抱き続け、ヒナが孵れば口移しで餌を与えて、エサの取り方まで教える。その間、メスは子育てに関わらないばかりか他のオスと作った卵も巣に預ける。またそもそも何の関係もないメスに托卵されることも多いが、いずれの卵も大事に育て上げる。さらには、親とはぐれたヒナを見ればその面倒まで見てしまう。すごいというかなんというか…。

5(授乳以外は全部任せろ! 超イクメンな小さな父さん〉
ヨザル
小さな夜行性のサル、ヨザルのイクメンっぷりは徹底している。毛づくろいをし、移動のときは背負い…。授乳時だけは子供をメスに渡すが、それ以外の育児はオスが全て引き受ける。ヨザルのメスは体重が600~900 gしかないにもかかわらず、100 gもの子どもを産むため負担が大きい。オスがここまで頑張るのは、メスの体力の消耗を防ぎ、次の妊娠・出産を有利にするためでもある。

6〈社会のルールを子供に教える、恐い(?)父親〉
ゴリラ
ゴリラのオスは子供が離乳期になって初めて子育てに参加しはじめる。もっとも、ハーレムを形成するため、オスの周りには常に子供が集まっている状態。オスは外敵から子供を守りつつ、喧嘩をすれば年上から諌めるなどして子供たちに社会性を身につけさせる。木の枝などでベッドを作って眠るゴリラ。母親と寝ていた子供が、父親のベッドの側に自分のベッドを作り始めたら自立はもうすぐだ。
(構成・文/宇都宮雅之)

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