あのニオイのもとを探究せよ! 第11回

腐敗臭が取れないゴミ箱に注意!

2015.07.16 THU


どちらも微生物の作用である「腐敗」と「発酵」の線引きは必ずしも明確ではなく、人や食文化にとって都合がいいか悪いかで決まるようだ 写真提供/PIXTA
久しぶりに自炊をしようと冷蔵庫の中身を探ってみると、ちょっと前に買い込んだ古い食材が怪しいニオイを発していて、たじろいだ経験がある人は多いはず。特に肉や魚なんかの生鮮食品はすぐに傷んでしまい、ゴミ箱に放り込んでもキッチン全体がイヤなニオイに包まれて悲しい気分になる。でも、食材が傷むと生じる「腐敗臭」って、どうして不快に感じるんだろう?

「食品の腐敗臭は、主に生物のタンパク質が細菌などの微生物によって分解されるときに生じる混合物によるもの。元になる食材や微生物によって生じるニオイは異なりますが、人は窒素や硫黄の原子を含んだ有機化合物のニオイを不快に感じる傾向があります。よく臭さの表現として“魚が腐ったニオイ”ということがありますが、あれは魚のタンパク質が分解されると『トリメチルアミン』や『メチルカプタン』といったニオイの強い成分が生じるためです」

と教えてくれたのは、ニオイが人に与える影響を研究している東北大学大学院の坂井信之准教授だ。

「そもそも、微生物の働きによって成分が分解され、味やニオイ、外観などが変化していくことを『腐敗』と呼びます。実は、これは味噌や納豆といった食品が微生物の作用で『発酵』するのと同じ現象です。たとえば“熟成したチーズ”のニオイは、慣れていなければとても食べ物とは思えません。しかし、好きな人にとってはおいしそうなニオイに感じられます。それが人にとって有益ならば『発酵』、有害ならば『腐敗』となるわけで、不快に感じるかどうかは経験や食習慣によって変わってくるんです」

なんとなく、腐敗臭に対しては本能が危険を察知するのかと思っていたけど、「いつもと違うニオイ」に違和感を覚えているわけか。ところで、キッチンのゴミ箱に腐敗臭が染み付いている気がするんだけど…これって消臭剤とかで消せないの?

「ゴミ箱がプラスティック製なら、あきらめたほうがよさそうですね。ガラスや金属などの材質に比べて、プラスティックは表面にニオイのもとになる分子が付きやすく、取れにくい構造になっているんですよ。対策としては、ニオイ分子をよく引き付ける炭やレンガなどをゴミ箱の中にあらかじめ入れておくのが効果的です。いわゆる“消臭剤”にはニオイ分子を除去する能力はないので、すでに染み付いたニオイに対する効果は期待できないでしょうね」

当然のことながら、買ってきた食品は痛んでしまう前にさっさと食べる、生ゴミは溜め込まずに回収に出すのが正解ということか。
(呉 琢磨)

※この記事は2012年7月に取材・掲載した記事です

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