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紀伊國屋、ネット対抗策に疑問の声

2015.08.26 WED

噂のネット事件簿


欲しい本はネットで買う、という人が増えているのは確かだが…
紀伊國屋書店が、村上春樹氏の新作エッセイ『職業としての小説家』(スイッチ・パブリッシング)の初版10万部のうち、9万部を出版社から買い取り、自社の店舗や取次店を介した全国の書店で9月10日から販売することを発表。目的は「実店舗への集客」とみられ、ネット書店に対抗することを明言。これがネット上で話題となっている。

紀伊國屋書店は、2015年4月、大日本印刷との合弁会社「出版流通イノベーションジャパン」を設立している。同社の狙いとして「広く出版流通市場の活性化および新しいビジネスモデルの創出を企画」することを掲げており、今回の取り組みは「買切り・直仕入」というビジネスモデルのひとつと説明している。

一般に出版物は、出版社→取次会社→書店へと配本され、書店で本が売れなかった場合、取次会社や出版社に原則返品することが可能(これは「返本」と呼ばれ、多くの書店・出版社が採用している)。しかし今回、紀伊國屋書店はスイッチ・パブリッシングから書籍を買い切り、返本はしない。これにより、紀伊國屋書店は在庫を抱えるリスクを負う一方、スイッチ・パブリッシングは返品リスクを回避できる。

なお、日本経済新聞などによれば、9万部を差し引いた残りの1万部から販促用などを除くと、ネット書店には5000冊しか回らないという。出版社や書店にメリットがあるとはいえ、“買い占め”とも取れるこの施策。ツイッター上では、

「Amazon対策とはいえ、紀伊國屋は思い切ったことやんな」
「紀伊國屋の取次への挑戦でもある。全面支持」

と評価する声もあるが、多くは首を傾げる声。ライバルとして掲げられた“ネット書店”がAmazon.comを指すとみる人も多く、

「紀伊國屋はAmazonから本を買うより紀伊國屋書店に足を運んで本を買ったほうが消費者にとっていいって思ってるのかな。だとしたらその根拠がほしい」
「紀伊國屋の一件、Amazonを利用している層は別に本だけ買ってる訳じゃないし本屋だけに行かなくなった訳でもないので、対抗策として的はずれもいいとこなんだよなぁ」
「紀伊國屋、アマゾンの邪魔するのであれば、アマゾンと同じくらいの時間でお客さんの手元に商品が届く流通を用意してからやった方がいいと思う」

と、批判的な声が続出している。さらには、

「紀伊國屋がやって許されるのならば、Amazonが同じことを企図しても許されるということになる。そういう買い占め合いの殴り合いになったら、最後に立っているのはキャッシュが多い方だと思うんだけどねぇ……」

など、「実店舗に足を運んでもらうため」の施策として“買い占め”るというのは、賢いやり方ではないのでは…という見方も。

書籍の仕入れ調整で実店舗に足を運んでもらおうという今回の考えは、多くのネットユーザーから反発を招いてしまったようだ。
(花賀太)

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