夏に辛い物の売り上げが伸びるのはなぜ?

「暑いと辛い物を欲する」真相は

2015.09.08 TUE


カプサイシンの辛さと、わさびやカラシの辛さでは、感じる部分が違うのだとか。わさびやカラシが辛い時は、マヨネーズを食べるのが効果的 写真提供/wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)
暑くなると辛いものが食べたくなる――とはよく聞く話。実際、夏は辛い物の消費量は伸びるのだろうか? スパイス&ハーブを軸とした事業を展開するエスビー食品のスパイス&ハーブマスター・木下茂さんと長谷川真一さんに話を伺った。

「確かに暑い時期は辛いものの売り上げは伸びますね。たとえばカレーは、季節で好まれる辛さの種類が違います。夏は特に“辛口”や“大辛”が売れ筋になる傾向があります。ブートジョロキアという唐辛子を使った“バリ辛”という商品も夏季限定で販売していますが、ファンが多いですね。そのほか、わさびやしょうが、ラー油など辛みのある調味料も、春から夏にかけて売り上げが伸びる傾向にあります」(木下さん)

やはり夏に辛いものはよく売れるようだ。しかし、味覚の研究を行い“味博士”として知られる鈴木隆一さんによると、「夏になると辛いものを欲する」という生理的なメカニズムは実証されていないのだそう。

「夏に辛いものを食べたくなるのは、宣伝による影響が大きいと思います。もともと辛いスパイスは世界の暑い地方を原産とするものが多く、各国料理でよく使われてきました。日本でも暑くなると暑い国の食べ物が宣伝され流行しますが、辛みの効いた料理であることが多いため、結果的に辛い食べ物の消費が多くなるのでしょう」(鈴木さん)

人間の味覚を形成する五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)は舌の味蕾(みらい)という部分で感じているが、辛みはその隣にある温度や痛みを感じる部分で感知している。鈴木さんによると、辛みは人間の体にとって必ずしも必要な成分ではなく、“嗜好品”のような位置づけだとか。では、なぜ暑い時期になると体が辛い物を欲する気がするのか? その理由として、こんな可能性を示唆してくれた。

「辛み成分として知られるカプサイシンには、体温を上げる効果があるので、(摂取すると)体が汗を出して(気化熱で)冷やそうとします。夏はその清涼感が好まれているのでしょう」(鈴木さん)

ちなみに、日本の食事で育った人は、世界的に見て辛みへの耐久性が低いのだそう。カレーなどの料理が辛すぎた場合の対処法について鈴木さんからアドバイスをもらった。

「カプサイシンの辛さから舌を守るには、ナタデココ入りヨーグルトやマヨネーズ入りポテトサラダと交互に食べてください。乳化した脂肪分が舌を守ってくれるので、驚くほど辛さを感じなくなりますよ。食べた後にどうしても辛さが収まらない場合は、アイスクリームがおすすめです。舌を冷やし、甘味成分が辛みを和らげてくれます」(鈴木さん)

辛いものが苦手! という人は、試してみては?
(山口優希/ユーフォリアファクトリー)

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