20分で400人分のご飯を炊きあげる

新潟県中越地震で活躍する自衛隊の「野外炊具1号」とは?

2004.12.02 THU

 10月23日に発生した新潟県中越地震だが、今もなお2万人近い被災者が避難所生活を強いられている(11月16日現在)。地震により道路が寸断され、ライフラインの復旧も思うように進んでいない。

そんななか、地震直後から食料支援に奮闘する自衛隊の車両があるのをご存じだろうか。野外炊具1号がそれだ。野外炊具1号は、その名の通り野外で炊事をするために造られた炊具専用車両。昭和37年に自衛隊に導入されて以来、演習などで自衛隊員の胃袋を満たしてきた。

台車の上に6つの釜があり、灯油で沸騰させたお湯と蒸気で一気に炊きあげる。約20分で約400人前のご飯を炊くことができるのだ(ご飯は蒸気によりふっくらとおいしく炊きあがるとか)。さらにご飯だけではなく、おかずの調理やみそ汁も作ることができる。燃料となる灯油と水さえあれば、どこでも調理ができるため被災地での食料支援に最適なのである。新潟スタジアムには、100台以上の野外炊具1号がずらりと配備され、日夜被災者に食事を提供しているという。

単に食欲を満たすためだけなら、おにぎりのほうが手間もかからず早いのかもしれない。しかし、自身も被災地を訪れたことがあるという製造元、伸誠商事株式会社の松井智則氏はこう語る。

「被災地での食料支援というのは、温食がポイントなんです。阪神淡路大震災では山積みのまま残るお弁当をよく見かけました。冷たいお弁当よりも温かいご飯とみそ汁。これを食べれば温まりますし、何より癒されるんです。これから厳しい冬を迎える新潟では、さらに温食が重視されると思います」

もうすぐ被災地には本格的な冬が訪れる。いままで以上に厳しい避難所生活を強いられるだろう。しかし、野外炊具1号があれば、湯気の向こうには、つかの間の笑顔がのぞいているかもしれない。

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