ロシアに続き中国でもブーム過熱!

村上春樹の小説が世界で支持される理由

2005.03.24 THU

モスクワや上海で、大べストセラーを記録している日本人作家がいる。その名は、ご存じ村上春樹。作品が次々に翻訳・出版され、現地の作家たちにまじって大人気なのだ。

現在彼の作品は世界で30以上の言語に翻訳・出版され、いずれも好意的に迎えられているという。02年頃から村上ブームが伝えられるロシアに至っては、今や現代文学のスタンダードという地位を獲得しつつあるとの評価も。

「もともとロシアは日本に対する好感度が高いんですよ。旧ソ連時代には『万葉集』『源氏物語』などの古典をはじめ、安部公房や大江健三郎、川端康成なども広く読まれていた。ペレストロイカ以後なら三島由紀夫。その次の波が村上春樹というわけですが、これまでと違い、一部のインテリ層だけでなく、ごく一般的な読者からも強く支持されているようです」

そう語るのはロシア・東欧文学研究の第一人者として知られる沼野充義さん。

「ソ連崩壊という価値観の変動後、内面の揺らぎを意識せざるを得なかった若者たちも読者には多い。そうした事情は、もしかすると中国などにも共通するのかもしれません。村上作品は、適度に都会的で洗練された手法で、個人と社会の関わりや喪失感を描き、なおエキゾチック。彼らにとって非常に魅力的なのでは」(沼野さん)

ロシアで最初に村上作品(『羊をめぐる冒険』)を紹介した訳者=ドミトリ・コヴァレーニンさんにその魅力を聞いた。沼野さんによれば彼のロシア語訳は「学者調ではない、非常にイキのいいもの」とのこと。

「まるで僕自身のことが書かれてあるようだ、と初めて読んだ時に思った。それは多くの読者も同じだと思う。価値観を揺さぶって再構築してくれるという意味では、村上春樹は文学のロックンロールなんだ」

世界で新規読者を獲得し続ける村上春樹。ノーベル文学賞に今いちばん近い日本人作家、との声も、あながち先走りすぎの噂ではないかも…?

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