意外と古いその歴史

奇面組から東京大学物語まで「衝撃の夢オチ」を振り返る

2005.05.12 THU

「はっ、夢か…」という登場人物のセリフとともに、これまでのストーリーがすべてなかったことにされる、強引なエンディングの手法「夢オチ」。特に長年親しんできたマンガの大団円が夢オチだった日にゃ、びっくりを通り越してがっくりきちゃいます。

R25世代の共有体験的な夢オチとしては「ハイスクール!奇面組」(集英社)をおいて他にないでしょう。「3年奇面組」時代から7年間も連載が続いた人気マンガの結末がヒロイン河川唯ちゃんの空想だった、という衝撃は今なお苦い思い出として語り継がれています。他には34巻すべてヒロイン水野遥の妄想だった「東京大学物語」(小学館)や、同じく62巻すべてゲームの中の出来事だった「代紋TAKE2」(講談社)が、夢オチ長編マンガとして有名。

ぼくたちの記憶にあるのはこれらの作品ですが、そもそも夢オチの起源はどれくらい古いのでしょうか? マンガに詳しい評論家の呉智英さんに伺いました。

「もうそれは、ほぼ無限に遡ることができるでしょうね。それこそ口承文芸の時代から夢オチはあったと思われます。文章化されたものは、おそらく故事成語の『邯鄲の夢』あたりではないでしょうか。マンガだと、戦後の日本のマンガ界に多大な影響を与えたといわれる、手塚治虫の『新宝島』が実は夢オチなんですよ」

ある意味、日本のマンガは夢オチとともに産声をあげたと。それにしても、どうして夢オチが多用されるんでしょうか。

「やっぱり簡単に物語を終わらすことができるからでしょう。でもかえって前提が夢だからこそ、物語をとにかく面白く、広げたいだけ広げることができる。その荒唐無稽な過程を楽しむのもマンガの醍醐味ですから、夢オチという着地点ばかりを突いて作品を評価するわけにもいかないですね」

確かに「奇面組」も「東京大学物語」も、連載当時は毎回一話ずつワクワクしながら楽しんでいたもの。そう考えると、夢オチもあながち悪い選択ではない?

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