“宇宙の黒幕”ダークマターの謎に迫る!

エックス線天文衛星「すざく」試験観測まもなくスタート!

2005.08.04 THU

エックス線天文衛星とは、いわば「宇宙のレントゲン写真」を撮るような観測装置。1000万~1億度の高温ガスはエックス線を出しており、それを手がかりにブラックホールや“宇宙の黒幕”ともいえる「ダークマター」(暗黒物質)などの謎に迫れる。

昨年はアメリカの「チャンドラ」と欧州の「ニュートン」という2つのエックス線観測衛星が、ブラックホールが太陽と同じくらいの大きさの星を飲み込む様子を確認したと発表。物質がブラックホールに落ち込むときにエックス線を出すのだが、その信号を衛星がキャッチしたわけだ。

エックス線天文学は日本のお家芸。先月打ち上げに成功し、8月中旬から試験観測を始めるエックス線天文衛星「すざく」は、「天体から出るエックス線の波長、つまり色を精密に分析する能力ではチャンドラ、ニュートンを凌駕する」と宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部の井上 一教授は言う。

近づくサイレンの音が高く聞こえることで知られる「ドップラー効果」。実はこれ、波長の変化が引き起こしている現象だ。「すざく」では、これと同じ原理を利用し、波長の長短の変化を精密に捉えることで、天体が発する高温ガスの動きの速度までわかる。「すざく」の能力を存分に発揮すれば、現代科学で最もインパクトのあるテーマの1つといわれる「ダークマター」を理解するパズルの1ピースが明らかになるかもしれない。

「重力などの計算から、宇宙の質量の9割程度をダークマターが占めると考えられていますが、光も電波も出さず直接見ることはできません。正体を解き明かすのは難しいですが、“影の主役”であるダークマターがどう動いているか、集中的に分布しているのはどこなのかは、まわりの高温ガスを調べることでわかります」(井上教授)

有史以前、人が宇宙の姿を見る手がかりは可視光に限られていたが、「宇宙を見る窓」はぐっと広がった。

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