騒動がひと段落したところで…

あのES細胞研究、捏造じゃなかったら、どれだけ凄かった?

2006.02.16 THU

昨年末はもっぱら“偽装”と“捏造”の話題ばかりでしたね。偽装は国内だけの話だったけど、捏造は世界中を騒がせる大スキャンダルになりました。キーパーソンは黄禹錫・ソウル大学教授。そして話題はES細胞(胚性幹細胞)について。でも、そもそもES細胞ってなに? もし試みが成功していたら、どんな可能性があったんだろうか?

「そりゃもう、あらゆる難病を解決する糸口になりえます」と語るのは、理化学研究所の西川伸一氏だ。う~ん、いったいどういうこと?

「ES細胞は、万能細胞とも呼ばれ、あらゆる組織へと分化できるんです」(同)

通常、細胞は「ここは皮膚、ここは神経」といったぐあいに、どんな組織になるかが決まっている。まあ、これは当然の話。でもES細胞は、組織や臓器に成長する元になる細胞であり、「この細胞になあれ」と指示を受けると、変身するのだという。ES細胞は受精卵から採取されるのだが、この受精卵を考えればわかりやすい。最初はたった1個の細胞だが、分裂増殖していくと、体の様々な部分へと成長していく。

これを医療に応用すると、あらゆる可能性が開けてくる。やけどした皮膚を再生させたり、インシュリンを作り出す細胞へと成長させることで、糖尿病の治療に役立てたり。ほかにもパーキンソン病や白血病など、様々な難病がES細胞によって解決できるかもしれない。

そんな夢のES細胞だけど、問題もある。せっかく受精卵から採り出しても、ほかの患者に移植できないのだ。なぜなら遺伝子情報が違うので、拒否反応を起こすから。

それを解決するのが、黄教授も試みた方法だった。その方法とは、患者が自分の体細胞を第3者の卵子に移植し、自分のクローン胚を作ることで「自分用のES細胞を作成する」というもの。この方法なら遺伝子が同じなので、拒否反応が起きる心配がない。実現化すれば、まさにノーベル賞級の技術だったのだ。

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