雑誌メディアがいちばんアツかったころ…

大正時代にもバブルがあったってほんとなの?

2006.09.21 THU

バブルといっても、80年代のことではない。ずーっと前に、日本は空前の景気拡大と失速をすでに経験していた。それは大正時代のこと。すぐにはピンとこないかもしれないが、大正とは1912~1926年の期間だ。

この大正バブル、結論からいえば第一次世界大戦(1914~1918年)のおかげで起きたもので“戦争景気”などと呼ばれた。ヨーロッパ諸国への軍需品輸出が拡大し、工業生産が飛躍的に増えたのだ。工業生産高が農業生産高を初めて上回ったのもこの時期で“成金”と呼ばれる新興企業が力を持った。が、大戦の終結とともに、景気は失速の一途をたどる。

大正時代そのものは、社会全体が豊かになり、様々な文化に人々が目を向けた時期。たとえば「電燈の契約口数」を見ると、大正元年の159万5000件が、15年後の昭和元年には1016万6000件にまで劇的に増加している。特に関東大震災の後には、100万部以上に部数を伸ばした新聞に加え、ラジオと雑誌というマスメディアが本格的に機能し、現在にまでつながる大衆文化が形成されていった。

そういえば大正末期から昭和初期は、雑誌黄金時代なんていわれ方もされてますよね、古書&風俗研究家の松沢呉一さん?

「細分化され洗練された現在の雑誌と違い、当時の雑誌はとにかくパワフル。混沌とした魅力があります。時代をそのまま切り取った存在ですね。コンドームの広告が総合誌に平気で載っていたり、猟奇事件の実録ルポがアカデミックな論考と同居していたり、まさに雑然としている。それは、雑誌が発行されたのがそういう時代だったという証しそのものでしょう。当然、昭和に入って世相が暗くなるに従い、雑誌のトーンも変化していきます」(松沢さん)

戦争景気という名のバブルは崩壊し、世界恐慌の波が続く。やがて日本は昭和のファシズムという暗い時代へと傾斜していった。歴史は繰り返す、なんて単なる迷信だといいなあ…ほんとに。

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