ホントに昔はよかったの?

なぜいつの時代も人は昔はよかったと言うのか?

2007.12.20 THU



写真提供/保屋野 参/AFLO
「昔はよかったね~」。つい言いがちなこの言葉。たしかに『ALWAYS 3丁目の夕日』や『タイムスリップグリコ』など、昭和30年代を題材にした作品も多い。一方で『熱血!!コロコロ伝説』などの昭和50年代後半~60年代前半のカルチャーも人気を得ている。これは、団塊の世代も団塊ジュニア世代も昔を懐かしみ、「あの頃はよかった」と思っている証拠。

人はなぜ「昔はよかった」と言いたがるのか? 精神科医の香山リカ先生によるとキーワードは「不安」と「優位」だとか。

「年齢を重ねると、今の時代や若者についていけなくなるのではないかと不安になります。価値観や好みに違いがあると、それを否定したい感情と若さを失っていく不安が入り交じると思うんです。そこで自分が若かった時代の文化などを振り返って『あっちの方がよかった』とか『人間味があった』と肯定することで、不安から逃避しようしているんじゃないでしょうか。あとは、年輩者が若い人に対して絶対的に優位に立てるのは、彼らが知らない時代を体験しているということ。だから『昔はよかった』の一言で『オレはお前らが知らないいい時代や大変な時代を知ってるんだ』と優越感を感じる一面もあるかもしれません」

なるほど、香山先生の言うように、年輩者は主に「不安」から昔を懐かしむために、若年者は「優越感」を得るために「昔はよかった」と言うことが多いような気が。

ちなみに、F・デーヴィス著『ノスタルジアの社会学』によると、これはどちらも「アイデンティティの連続の確保」にも関わることだという。簡単に言うと、人は、今の自分を肯定するために、過去の自分を肯定しようとする心理が働くのだとか。

とはいえ、香山先生によると「昔を懐かしむのはいいけれど、それが今の自分の否定になると不健康な状態」とのこと。今生きてるこの瞬間を大事に、たまに人生のスパイスとして昔を思い出すくらいがちょうどいいようです。

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