ロスから房総半島まで、太平洋を横断するビッグプロジェクト

全長1万kmの海底ケーブルってどうやってつなげるの?

2008.04.04 FRI


今回見せてもらった海底ケーブルの実物。手に取るとズッシリと重いんです、これが…。なお、無事に1万kmの敷設を終えた暁には、「何かセレモニーでも考えたいですね(笑)」と戸所さん。達成感もさぞビッグなはず!
KDDIと米Googleがアジアの通信会社と提携し、太平洋を横断する光海底ケーブルを敷く計画を発表した。全長にして約1万kmとされるケーブルの敷設。こんな地球規模のダイナミックな作業って、一体どのように行われるのだろう?

その壮大な作業の実態をお聞きするため、KDDI本社にお邪魔した。

まず見せてくれたのが、光海底ケーブルの実物。環境に合わせて複数のタイプが用意されており、いずれも見た目以上に重量感がある。

「ロスと千葉県南房総市の両方から、敷設船がこのケーブルを敷きながら向かい合わせに進みます。ケーブルは埋設機で海底に埋めながら敷設し、ふたつの船が出合ったポイントでケーブルを接続し、つなぎます」(ネットワーク技術本部・戸所弘光さん)

すでに過去に数回、ケーブルの敷設工事を成功させている同社。その模様は、NHK『プロジェクトX』でも特集された。

しかし無線化が進む昨今。衛星もバンバン打ち上げられている中、物理的にケーブルを敷く作業は非効率な気もしますが。

「衛星による通信回線もバックアップ用に利用されていますが、いかんせん通信速度に限界があるんです。その点、今回の光ケーブルは最大値で毎秒7.68テラビットのデータが送受信可能。2本のケーブルを組み合わせて敷設し、片方を有事の際のバックアップ用に使うことになります」(同・福島義彦さん)

有事とは、ケーブルが途中で切断してしまうトラブルなどを指す。原因は、サメや鯨がかじるためではなく、地震による地滑りや、漁業活動における漁具(船のアンカーなど)に巻き込まれてしまうケースが大半だとか。

そのため、ケーブルは浅い海域ほど太く頑丈なものが用いられ、逆に静かな深海ではポリエチレンに包まれた細身のものが使用される。なおケーブルは敷設の際、埋設機によって海底に埋められ、少しでもトラブルを避けるよう配慮されているという。

「約70キロごとに、光の増幅や給電を行なうための中継器を設置します。敷設作業自体は3~4カ月ほどで完了するのですが、実際にはケーブルや中継器の製造とテストに要する時間が大きいですね」(戸所さん)

今回敷設されるケーブルは、順調なら2010年春から運用される予定だ。今後こうしたインフラ強化がいっそう進めば、より高画質の映像がネット上でやりとりできるようになるはず。もしかすると、YouTubeがハイビジョンで見られる時代が来るかも!?

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