丸けりゃいいってもんじゃない

記録を支えるニッポンの技術メダル独占の砲丸の秘密とは?

2008.05.08 THU

4年に一度のスーパーイベント『オリンピック』の開催が近づくなか、砲丸作り職人の辻谷政久さんが、自社製品の北京五輪への納品を拒否したことで注目を集めている。家族経営の町工場で作られる辻谷砲丸だが、その高品質ぶりは世界的にも有名。どれだけすごいのかというと、オリンピックの砲丸競技では複数の国の業者から規定の砲丸が集められる。試し投げなどを経て選手は気に入ったものを選ぶのだが、辻谷さんの砲丸はアトランタ、シドニー、アテネの各大会で表彰台を独占。特にアテネ大会では1位から8位までのうち、7人が辻谷砲丸を選んだ。でも砲丸なんて丸い鉄の塊でしょ、他の製品と何が違うの? 真相を探るため早速ご本人を直撃。

「他製品との違いは重心の位置。球の中心に重心をもっていくことで飛距離を伸ばすことができます。鉄は固まるときに重い物質が下に集まるので、同じ球に見えても重心はずれている。重い部分を多く削ることでバランスのとれた球体に仕上げることができるのです」

と惜しげもなく秘訣を明かしてくれたのはいいが、他社に技術を盗まれる心配は?

「大丈夫、どうせマネできないから」(同)

五輪への納品を見送った職人さんだけあって根性がすわっている。今回、辻谷砲丸は不参加だが北京五輪全体を見渡すと日本製品はたくさん発見できる。丸いものつながりでいうと、スポーツメーカーのミカサはバレーボールや水球のボールを、同業のモルテンはバスケットボールなどを納品している。両社とも80年代の大会から途切れることなく公式用具としてのオファーを受けているという。高い技術力のなせるわざだ。

「いかに安定した高品質で製品を送り出せるかがポイント。試合ごとに品質がバラバラだったりしたら極端な話、国際問題になりかねませんから」(ミカサ総務課・中東さん)

北京五輪では日本選手の奮闘ぶりに加え日本製品の活躍も頭に入れて観てみよう。きっと2倍楽しめるに違いない。


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