50年間増え続けている!?

東京湾もその一部…“死の海域”の恐しい話

2008.09.25 THU



イラスト:牧野良幸
死の海域。オッソロシイ響きである。なんと、生物のすめない海域がここ50年間増え続けているという記事をアメリカの科学雑誌『サイエンス』が発表。その数は400。東京海洋大学の田中祐志准教授、海はどうなっちゃうの!?

「まぁ、落ち着いて。死の海域は、最近急に発見されたのではありません。確かに増えてはいますが、日本でも内湾や湖で昔からある状態なんですよ。その増加の原因は、沿岸部に流れ込む農業肥料や処理済の下水などだといわれています」

死の海域とは、海底が酸欠状態で生物がほぼすめない海を指すとか。あれ、東京湾も死の海域に入ってるけど? 

「東京湾の状態は、1年のサイクルで変動します。4月ごろから海面が温まり、夏には海水の上部が温かく下部が冷たい二層構造に。海面近くでは光合成が盛んに行われ、植物プランクトンが増加します。一方、それを食べた動物プランクトンなどの死骸やフンが海底に沈下。これらをバクテリアが酸素を使って分解しますが、光が届かない海底では光合成が行われず酸欠状態に。が、10月ごろには海面温度が低下。冷たい水が沈み、上下の水が混ざって海底にも酸素が供給されるのです」(同)

そのサイクルのために、東京湾では生物が生息できる、と。ただし、下部の酸欠が進む一方では、生物の生息は不可能になる。

死の海域には、東京湾のようにときどき酸欠になる海も含むそう。海の面積は約3.6億平方キロメートル。死の海域は、その0.07%で24万5000平方キロメートル。つまり、日本の6割程度の面積だ。な~んだ、そんなもんか。

「ただ海全体では、栄養が少なく生物があまり増えない海域が9割。生物の生息密度は偏っていて、栄養の豊かな1割の沿岸部海域に集中しています」(同)

しかも、死の海域の増加で沿岸部に生物はすみにくくなって。やっぱ、ヤバイの!? いまのうちに一生分の魚介類を食すべく、今夜は死の海域を肴に寿司屋で一杯やりますか。


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