実は2種類あった!

話題のクローン食肉は果たして安全なのか?

2009.02.12 THU



写真提供/時事通信社
今年1月、内閣府食品安全委員会のワーキンググループが出した「体細胞クローン技術で生まれた家畜に由来する食品は安全」という趣旨の報告書を皮切りに、新聞などで意見が飛び交っている「クローン食肉」の話題。「クローン」という語感から、素人には理解できない先端科学の領域と思われがちだが、専門家によれば。

「遺伝的に同一な個体(=クローン)を、人工的に増殖する『クローン技術』は、実は農業では、非常に古くから利用されているものです。たとえば、分割した種芋を植えて殖やすジャガイモは、クローン技術利用の代表例といえるでしょう」(農林水産省 技術会議事務局 研究開発官室・川嶌氏)

という。もちろん、動物の場合はより複雑だ。クローン元となる動物の細胞を、別に用意した核を除いた未受精の卵子に挿入、成長可能な状態まで培養した後、仮親となる動物の子宮へ移植し出産、という流れをとる。なお、動物のクローン技術には大きく2種類あり、最初に用意する細胞を受精卵からとった場合は「受精卵クローン」、体細胞(筋肉細胞や皮膚細胞など)なら「体細胞クローン」と呼ぶ。ちなみに受精卵クローンの技術は、人工授精など通常の家畜繁殖技術と同等と考えられていることから、非常にわずかだが食肉の出荷もされているそうだ。対して今回話題の体細胞クローンは、より高度な技術。歴史も浅いことから審議が続いている。

「家畜のクローン技術は主に、病気に強い、肉質が良いなど、優秀な家畜を効率よく改良するための手段のひとつとして位置づけられています。動物全般でいえば、絶滅の危機に瀕している希少動物の保護・再生といった方面でも期待されています」(同)

今後実際に市場への流通が認められたとしても、体細胞クローン牛を作るためには膨大なコストがかかるため、食卓にのぼる可能性はまだ低いようだ。いつの日か、誰もが納得できるクローン食肉の登場を待ちたいものである。


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